マウスの消化器官におけるRNA合成のラジオオートグラフ的研究, ことに二核細胞について
消化器管におけるRNA合成を研究するため体重15gのマウスを1週間基礎食で飼いならした後, 3H-uridine を20μc/g体重皮下注射し, 注射後1時間で給食して, 注射後2(食後1), 4 (3), 8 (7), 24 (23), 28 (3) 時間の5回にわたり5匹ずつ (ただし最後の群は2匹) 殺し, 肝臓, 膵臓, 胃, 十二指腸, 空腸, 回腸, 大腸を細胞分離永久標本に作製し, 富士EF-2E乳剤膜でおおって55日間露出, 型のごとく現像, 定着. HE染色を施したラジオオートグラフを作製した. 各器官について3H-Uridine の取り込みを各種細胞10箇ずつの grain...
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Published in: | Archivum histologicum japonicum Vol. 27; no. 1-5; pp. 545 - 552 |
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Main Authors: | , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | English Japanese |
Published: |
国際組織細胞学会
30-11-1966
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Summary: | 消化器管におけるRNA合成を研究するため体重15gのマウスを1週間基礎食で飼いならした後, 3H-uridine を20μc/g体重皮下注射し, 注射後1時間で給食して, 注射後2(食後1), 4 (3), 8 (7), 24 (23), 28 (3) 時間の5回にわたり5匹ずつ (ただし最後の群は2匹) 殺し, 肝臓, 膵臓, 胃, 十二指腸, 空腸, 回腸, 大腸を細胞分離永久標本に作製し, 富士EF-2E乳剤膜でおおって55日間露出, 型のごとく現像, 定着. HE染色を施したラジオオートグラフを作製した. 各器官について3H-Uridine の取り込みを各種細胞10箇ずつの grain counting により定量した結果は次の通りである. 肝細胞, 膵細胞, 胃の旁細胞などの腺細胞においては全群共通に2核細胞の方が1核細胞より銀粒子数が多い. 同一器官について時間的経過をみると注射後24時間まで銀粒子数は漸増し, 注射後28時間 (再給食後3時間) で急減して再給食前の半分以下となる. これは給食後RNA合成が盛んとなり再給食まで蓄積されるが再給食により総RNA量の半分以上は消費されて新たに合成されると解される. 小腸の上皮細胞においては腸絨毛の細胞と腸陰窩の細胞とに分けて観察すると, 十二指腸, 空腸, 回腸ともにすべての時期で陰窩細胞に銀粒子数が多い. また各器官別に時間的経過をみると. 絨毛細胞では粒子数が時間とともに漸増するが, 陰窩細胞では食後7∼23時間が最大値を示し再給食後3時間で減少し始める. 大腸では杯細胞における銀粒子数が通常の円柱上皮細胞より常に多い. これらのことから腸陰窩の上皮細胞は3H-Uridine 注射後合成したRNAをもったまま腺細胞のごとく多量に消費することなく, 小腸においては絨毛へ移動すると解することができる. また2核細胞の見られる腸絨毛細胞において2核細胞と1核細胞の銀粒子数を比較すると, 腺細胞と同様に2核細胞の方に多いことは上皮においても2核細胞は1核細胞よりRNA合成の盛んなことを意味する. |
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ISSN: | 0004-0681 |
DOI: | 10.1679/aohc1950.27.545 |