不完全摘出後約4年の経過で自然消失したメッケル腔髄膜腫の1例

メッケル腔髄膜腫は髄膜腫の1~4%を占め, 比較的まれであり4, 7), またその初発症状は多くは三叉神経痛である4). 我々は外転神経麻痺で発症し, しかも部分摘出術後約4年で自然消失したきわめてまれな1例を経験したので, その臨床経過を報告するとともに, 自然消失の機序に関して若干の考察を行った. 症例 <患者>46才, 女性 主訴:複視, 左顔面のシビレ感 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1982年9月, 遠くの物がぼやけて見えることに気付いた. 2~3日してさらに物が二重に見えるようになると同時に, 左前額部から眼窩外側にシビレ感が出現した. 放置していたが,...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 28; no. 9; pp. 925 - 929
Main Authors: 松元幹郎, 三瓶建二, 大石仁志, 清木義勝, 寺尾栄夫, 工藤玄恵
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1988
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Description
Summary:メッケル腔髄膜腫は髄膜腫の1~4%を占め, 比較的まれであり4, 7), またその初発症状は多くは三叉神経痛である4). 我々は外転神経麻痺で発症し, しかも部分摘出術後約4年で自然消失したきわめてまれな1例を経験したので, その臨床経過を報告するとともに, 自然消失の機序に関して若干の考察を行った. 症例 <患者>46才, 女性 主訴:複視, 左顔面のシビレ感 家族歴・既往歴:特記すべきことなし 現病歴:1982年9月, 遠くの物がぼやけて見えることに気付いた. 2~3日してさらに物が二重に見えるようになると同時に, 左前額部から眼窩外側にシビレ感が出現した. 放置していたが, 顔面のシビレ感が徐々に強くなり, 疼痛も伴ってきたため, 10月, 当科に入院した. 入院時所見:意識は清明で, うっ血乳頭なく, 髄膜刺激症状, 錐体路症状, 小脳症状も認めなかった. 異常所見として左外転神経麻痺が明らかであり, さらに左三叉神経第1枝領域の知覚鈍麻と左corneal reflexの減弱を認めた. 視力, 視野は正常で, 他の脳神経症状は認めなかった. また, 臨床検査では血液生化学検査にて異常を認めなかった.
ISSN:0470-8105