悪性脳腫瘍に対する光化学療法の基礎的研究

近年のレーザー医学の発達には目をみはるものがあり, 腫瘍病変への応用はその一つである. 一般にレーザーを利用した腫瘍の治療は大きく二つに分けられる. 一つは高出力エネルギーのCO_2 レーザーやYAGレーザーを利用し, 光の熱エネルギーによって組織を焼灼・昇華するもので, 腫瘍の手術に用いられている24). 他方は低出力エネルギーの可視光線を用い, 光感受性物質を腫瘍組織内に取り込ませておいて腫瘍組織の分子レベルでの光化学反応によって悪性腫瘍を治療しようとするものである. この方法は光化学療法, photoradiation therapy(PRT)またはphotodynamic herapy...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 2; pp. 75 - 80
Main Authors: 金子貞男, 阿部弘, 徳田耕一, 杉本信志, 都留美都雄, 藤居仁, 朝倉利光
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1985
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Description
Summary:近年のレーザー医学の発達には目をみはるものがあり, 腫瘍病変への応用はその一つである. 一般にレーザーを利用した腫瘍の治療は大きく二つに分けられる. 一つは高出力エネルギーのCO_2 レーザーやYAGレーザーを利用し, 光の熱エネルギーによって組織を焼灼・昇華するもので, 腫瘍の手術に用いられている24). 他方は低出力エネルギーの可視光線を用い, 光感受性物質を腫瘍組織内に取り込ませておいて腫瘍組織の分子レベルでの光化学反応によって悪性腫瘍を治療しようとするものである. この方法は光化学療法, photoradiation therapy(PRT)またはphotodynamic herapy(PDT)として前者と区別されている5, 10, 13, 14). 脳腫瘍への光化学療法の応用は1966年Rosomoff22), 1972年Diamondら3)のマウスグリオーマを用いた研究に始まり, 最近では光感受性物質としてhematoporphyrinを, 光源としてアルゴンダイレーザーを用いてヒト悪性脳腫瘍への応用が開始されつつある5, 18, 21, 23).
ISSN:0470-8105