外科的治療を行った肺癌原発孤立性転移性脳腫瘍24例の検討

我々は, 悪性腫瘍の脳転移例に対する効果的な治療法を求める目的で, 転移性脳腫瘍の中でもっとも頻度の高い肺癌原発脳転移を取り上げ, そのうち単発性脳病巣で手術摘出が治療の軸となった症例の転帰を検討した. その結果, 若干の知見が得られたので報告する. 対象 症例は, CT導入後の1979年1月から1985年10月までに, 北海道大学脳神経外科およびその関連病院において経験した, 脳転移巣の全摘出もしくは亜全摘出手術例の24例である. したがって, biopsyに終わったものや脳室ドレナージあるいはシャント術のみ施行したものは, 今回の対象から除外した. 結果 1.脳転移診断時の臨床像 年齢・性...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 28; no. 3; pp. 259 - 264
Main Authors: 北岡憲一, 阿部弘, 中川翼, 佐藤正治, 伊藤輝史, 河本俊
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1988
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Summary:我々は, 悪性腫瘍の脳転移例に対する効果的な治療法を求める目的で, 転移性脳腫瘍の中でもっとも頻度の高い肺癌原発脳転移を取り上げ, そのうち単発性脳病巣で手術摘出が治療の軸となった症例の転帰を検討した. その結果, 若干の知見が得られたので報告する. 対象 症例は, CT導入後の1979年1月から1985年10月までに, 北海道大学脳神経外科およびその関連病院において経験した, 脳転移巣の全摘出もしくは亜全摘出手術例の24例である. したがって, biopsyに終わったものや脳室ドレナージあるいはシャント術のみ施行したものは, 今回の対象から除外した. 結果 1.脳転移診断時の臨床像 年齢・性:脳転移診断時の平均年齢は58.5才であったが, 60才台6例(25%), 70才台4例(16.7%)と比較的高齢者でも摘出術を受けていた. 性別では, 男性16例(66.7%), 女性8例であり, 男性が多かった. 組織像:腺癌が11例(45.8%)ともっとも多く, ついで扁平上皮癌が5例と多かった.
ISSN:0470-8105