難治性囊胞出血に対して腎動脈塞栓療法を施行した小児例

難治性囊胞出血の症例では,腎動脈塞栓療法(transarterial embolization, TAE)や腎臓摘出が考慮されるが,腎TAEを施行した小児例の報告はない.症例は12歳女児.巣状分節性糸球体硬化症による末期腎不全のためX-7年で腹膜透析を導入され,X-3年に初めて両腎に多発する囊胞が確認された.その後両腎容積が増大し,X-1年に囊胞出血をきたし保存的加療を行ったが,X年に赤血球輸血依存状態となり硬膜外麻酔併用全身麻酔下で腎TAEを施行した.合併症を認めることなく終了し,集中治療室に入室した.術後2–3日目に発熱および腰背部痛を認め,炎症反応の上昇も著明であったことから間欠的血液濾...

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Published in:日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 37; pp. 129 - 134
Main Authors: 中谷, 諒, 安藤, 太郎, 三浦, 健一郎, 加藤, 彩, 白井, 陽子, 石塚, 喜世伸, 橋本, 多恵子, 久野, 正貴, 星野, 純一, 服部, 元史
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2024
Subjects:
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Description
Summary:難治性囊胞出血の症例では,腎動脈塞栓療法(transarterial embolization, TAE)や腎臓摘出が考慮されるが,腎TAEを施行した小児例の報告はない.症例は12歳女児.巣状分節性糸球体硬化症による末期腎不全のためX-7年で腹膜透析を導入され,X-3年に初めて両腎に多発する囊胞が確認された.その後両腎容積が増大し,X-1年に囊胞出血をきたし保存的加療を行ったが,X年に赤血球輸血依存状態となり硬膜外麻酔併用全身麻酔下で腎TAEを施行した.合併症を認めることなく終了し,集中治療室に入室した.術後2–3日目に発熱および腰背部痛を認め,炎症反応の上昇も著明であったことから間欠的血液濾過透析を施行した.術後4日目,解熱し炎症反応も改善したため腹膜透析を再開し,術後15日目に退院とした.体格の小さな小児においても腎囊胞出血に対する腎TAEは有用な治療の選択肢になりうることが示唆された.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.24-017