2. 脳塞栓症を契機に診断された左心耳内血栓がワーファリンによる抗凝固療法により消失した持続性心房細動の1例

61歳女性. 1995年より持続性心房細動に対し近医よりジゴキシン, ワーファリンを投与されていた. 2006年1月に心室細動発作出現し, AEDにより除細動された. 心室細動既往例として除細動器移植術を予定していた. しかし, 当院転院時より書字・読字・手指失認を認め, 頭部MRIで左側頭葉を中心に多発性脳梗塞を認めGerstmann症候群と診断した. ワーファリン4mg/日服用していたが入院時にはPT-INR 1.6とコントロール不良で, FDP 24.4μg/ml, D-ダイマー14.6μg/mlと上昇していた. 経食道エコーにて左心耳内に19.1×14.5mmの血栓を認めたため, 脳塞...

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Published in:THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 3; p. 333
Main Authors: 太田昌樹, 金古善明, 根岸一明, 齋藤章宏, 新井昌史, 長谷川昭, 倉林正彦
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 2008
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Description
Summary:61歳女性. 1995年より持続性心房細動に対し近医よりジゴキシン, ワーファリンを投与されていた. 2006年1月に心室細動発作出現し, AEDにより除細動された. 心室細動既往例として除細動器移植術を予定していた. しかし, 当院転院時より書字・読字・手指失認を認め, 頭部MRIで左側頭葉を中心に多発性脳梗塞を認めGerstmann症候群と診断した. ワーファリン4mg/日服用していたが入院時にはPT-INR 1.6とコントロール不良で, FDP 24.4μg/ml, D-ダイマー14.6μg/mlと上昇していた. 経食道エコーにて左心耳内に19.1×14.5mmの血栓を認めたため, 脳塞栓症と診断した. ワーファリン2.0~4.5mgとパラミジン1Capの併用投与によりPT-INR 2.0以上にコントロールした. 血栓は徐々に縮小し, 抗凝固療法強化3ヶ月後に血栓は消失した. 持続性心房細動症例におけるワーファリンによる至適コントロールの重要性が再認識されたとともに, 左心耳血栓の消失までの経過を観察し得た貴重な症例であった.
ISSN:1343-2826