P-54)漿液性網膜剥離を発症した妊娠中毒症の2症例

今回われわれは, 妊娠中毒症により発症したと考えられる漿液性網膜剥離の2例を経験したので報告する. 症例1:25歳, 初産婦. 妊娠35週2日, 妊娠中毒症重症および子宮内胎児発育遅延のため他院より当科紹介. 入院後も中毒症は増悪傾向, 浮腫は顔面にもおよび, これに伴い黄色視, 視力低下が出現, 眼底検査により漿液性網膜剥離と診断. 症状の改善を認めず, 妊娠36週1日, 緊急帝王切開を施行, 出生体重1,451gの生児を得た. 術後一過性に眼症状の増悪を認めたものの, 中毒症の改善に伴い網膜剥離も改善した. 症例2:28歳, 初産婦. 妊娠30週頃より血圧上昇, 尿蛋白を認め, 前医にて管...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; p. 482
Main Authors: 國重浩二, 山田浩子, 三宅秀彦, 三田俊二, 横田明重, 佐々木茂, 越野立夫, 中井章人, 中山滋章
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2004
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Description
Summary:今回われわれは, 妊娠中毒症により発症したと考えられる漿液性網膜剥離の2例を経験したので報告する. 症例1:25歳, 初産婦. 妊娠35週2日, 妊娠中毒症重症および子宮内胎児発育遅延のため他院より当科紹介. 入院後も中毒症は増悪傾向, 浮腫は顔面にもおよび, これに伴い黄色視, 視力低下が出現, 眼底検査により漿液性網膜剥離と診断. 症状の改善を認めず, 妊娠36週1日, 緊急帝王切開を施行, 出生体重1,451gの生児を得た. 術後一過性に眼症状の増悪を認めたものの, 中毒症の改善に伴い網膜剥離も改善した. 症例2:28歳, 初産婦. 妊娠30週頃より血圧上昇, 尿蛋白を認め, 前医にて管理されていたが増悪傾向, 重症妊娠中毒症管理目的で妊娠32週5日に当科紹介. 入院後も中毒症は改善せず, 高度の蛋白尿が持続したため妊娠33週5日, 緊急帝王切開を施行, 出生体重2,102gの生児を得た. しかし, 手術翌日に左眼の視力低下の訴えがあり, 眼底検査を行ったところ両眼ともに網膜の浮腫性病変を認め, 漿液性網膜剥離と診断. マンニトールにより利尿を行い眼症状は改善した. 本症は, 概して予後良好と考えられており, 今回の2症例でも良好な予後を得ている. しかし, 時に視機能障害を残す可能性もあり, 妊娠中毒症症例における眼症状には適切な対応が必要であると考えられた.
ISSN:1345-4676