P-92)再発をくりかえしMIB-1 Indexの高値化を示した脊索腫の1例

再発を繰り返し, 次第に細胞異型が高度になった症例を経験したので, 病理学的所見を加えMIB-1染色Index(MIB-1SI)を用いた悪性度の変化について報告する. 症例:44歳男性. 1996年全身倦怠感と頭痛を主訴に近医来院. MRIでトルコ鞍部に腫瘍を認めた為, 同年11月手術目的で本学附属病院脳神経外科に紹介となった. 手術, 放射線療法後, 経過観察するも腫瘍の再増大が認められ, 当院脳神経外科へ転院. 2001年11月再手術. 2002年1月遺残腫瘍の摘出のため再々手術となった. 細胞所見(3度目手術の擦過細胞診):背景には粘液性物質が見られ, その中に胞体が明るくN/C比が低い...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; pp. 661 - 662
Main Authors: 柳田裕美, 前田昭太郎, 細根勝, 片山博徳, 志村俊郎, 山王直子, 内藤善哉, 横山宗伯, 寺本明
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2002
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Description
Summary:再発を繰り返し, 次第に細胞異型が高度になった症例を経験したので, 病理学的所見を加えMIB-1染色Index(MIB-1SI)を用いた悪性度の変化について報告する. 症例:44歳男性. 1996年全身倦怠感と頭痛を主訴に近医来院. MRIでトルコ鞍部に腫瘍を認めた為, 同年11月手術目的で本学附属病院脳神経外科に紹介となった. 手術, 放射線療法後, 経過観察するも腫瘍の再増大が認められ, 当院脳神経外科へ転院. 2001年11月再手術. 2002年1月遺残腫瘍の摘出のため再々手術となった. 細胞所見(3度目手術の擦過細胞診):背景には粘液性物質が見られ, その中に胞体が明るくN/C比が低い類円形核を有する細胞を認め, 担空胞細胞と考えられた. また, N/C比が高く核, 胞体共に大小不同, 異型の著しい細胞を認めた. 組織所見:変性した粘液腫瘍様基質を伴って, 類円形細胞の増殖が認められた. 胞体は好酸性で多数の空胞を持ち, 索状あるいはシート状に配列し, 担空胞細胞と思われ, 脊索腫の所見であった. 細胞異型軽度と高度の病巣がみられた. MIB-1SI:手術1度目, 72%, 2度目5.7%, 3度目13.0%, (細胞異型:軽度部位10.0%, 高度部位15.2%)であった. まとめ:脊索腫は比較的低悪性度の腫瘍であり, 細胞異型と悪性度の関係についてはあまり言われていない. しかし本症例では再発に伴って細胞異型とともにMIB-lSIも高くなり, 悪性度が高くなったことが推測される結果であった.
ISSN:1345-4676