P-76)淡明細胞型軟骨肉腫の1例:臨床病理学的な鑑別診断

淡明細胞型軟骨肉腫は稀で, 軟骨肉腫の亜型として, 比較的予後良好な腫瘍として報告されているが, しばしば臨床病理学的に鑑別診断が問題となる. 今回, 淡明細胞型軟骨肉腫の一例を経験したので, 細胞診断上の鑑別を中心に報告する. 症例:30歳男性, 右股関節部痛を主訴にて初診. 画像上, 骨腫瘍を疑われ, 生検が施行された. 捺印細胞所見:核小体明瞭な円形肥大核と比較的淡明な細胞質を有する細胞とともに多数の破骨細胞様多核巨細胞, 軟骨基質, 類骨も認められ, 臨床所見を加味し, 骨巨細胞腫, 軟骨芽細胞腫, 骨肉腫などとの鑑別が必要な所見であった. 病理組織所見:細胞質が淡明な腫瘍細胞が分葉状...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 657
Main Authors: 尾花ゆかり, 前田昭太郎, 細根勝, 原博, 片山博徳, 礒部宏昭, 柳田裕美, 武内俊次, 内藤善哉, 横山宗伯
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2002
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Description
Summary:淡明細胞型軟骨肉腫は稀で, 軟骨肉腫の亜型として, 比較的予後良好な腫瘍として報告されているが, しばしば臨床病理学的に鑑別診断が問題となる. 今回, 淡明細胞型軟骨肉腫の一例を経験したので, 細胞診断上の鑑別を中心に報告する. 症例:30歳男性, 右股関節部痛を主訴にて初診. 画像上, 骨腫瘍を疑われ, 生検が施行された. 捺印細胞所見:核小体明瞭な円形肥大核と比較的淡明な細胞質を有する細胞とともに多数の破骨細胞様多核巨細胞, 軟骨基質, 類骨も認められ, 臨床所見を加味し, 骨巨細胞腫, 軟骨芽細胞腫, 骨肉腫などとの鑑別が必要な所見であった. 病理組織所見:細胞質が淡明な腫瘍細胞が分葉状に増生し, 破骨細胞様の多核巨細胞が高頻度に認められた. 類骨, 骨形成も著明で, 軟骨形成もみられた. また淡明細胞の細胞質は豊富なグリコーゲンを含有し, S-100蛋白陽性であった. まとめ:1)特に破骨細胞様多核巨細胞が出現する骨腫瘍との鑑別を中心に検討した. 2)骨腫瘍の診断では, 臨床所見, 特に単純X線を主体とした画像情報が重要であり, 細胞組織所見と画像所見との総合診断が不可欠であることを強調したい.
ISSN:1345-4676