P-84)成長障害を来した小児熱傷患者の検討
目的:われわれは10年以上の長期観察をし得た広範囲小児熱傷患者に対し生じた成長障害を検討し, どの程度の熱傷, 瘢痕が将来不可逆的な障害を残すかを明らかにし, 小児の成長に如何に対処するかを報告する. 対象:1980年から90年に熱傷を受傷した受傷時年齢3ヵ月から4歳11ヵ月の男児4例女児10例を対象とした. その観察期間は10年から20年8ヵ月であった. 結果:10例では瘢痕拘縮が生じた都度適切な修正を行うことで良好なバランスでの成長を示したが, 4例では成長障害を生じた. 考察:成長障害を呈した4例は, 熱傷が骨に達したもの, 主要血管まで損傷したもの, 手指では初回手術が不十分であったも...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 596 |
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Main Authors: | , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
2001
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Summary: | 目的:われわれは10年以上の長期観察をし得た広範囲小児熱傷患者に対し生じた成長障害を検討し, どの程度の熱傷, 瘢痕が将来不可逆的な障害を残すかを明らかにし, 小児の成長に如何に対処するかを報告する. 対象:1980年から90年に熱傷を受傷した受傷時年齢3ヵ月から4歳11ヵ月の男児4例女児10例を対象とした. その観察期間は10年から20年8ヵ月であった. 結果:10例では瘢痕拘縮が生じた都度適切な修正を行うことで良好なバランスでの成長を示したが, 4例では成長障害を生じた. 考察:成長障害を呈した4例は, 熱傷が骨に達したもの, 主要血管まで損傷したもの, 手指では初回手術が不十分であったもの, excision to fasciaされたものであった. 前2者は成長に重要な臓器が障害を受けており, 成長障害を避けることが難しいものと言えるが, 後2者は成長障害を避け得るものと思われた. これは成長障害を来たさなかった10例の検討結果より, 拘縮を伴わない瘢痕, または, 拘縮があっても適切な時期に十分な拘縮解除ができれば成長障害は生じにくいと結論付けられたためである. つまり, 脂肪層がなく拘縮解除が困難であった症例に成長障害が生じるとも言え, 初期手術では脂肪層の温存, 再建手術では脂肪層の再建まで考慮することが成長障害を最小限にとどめる一手段と考えられた. |
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ISSN: | 1345-4676 |