P-65)妊娠中に合併した悪性腹膜中皮腫の1例
悪性中皮腫は漿膜から発生し, 発生頻度は0. 1例/人口10万/年で, 好発年齢は50歳前後とされ, 腹膜原発はその1/3と比較的稀な腫瘍である. 今回, 我々は若年女性の妊娠中に発症したと思われ, 偶然発見された悪性腹膜中皮腫を経験したので報告する. 症例は, 24歳初産婦, アスベスト暴露歴は不明. 妊娠28週に下腹痛を主訴に当科救急外来初診. 超音波断層法でダグラス窩に6cm大の腫瘍を認め, MRIを施行し子宮筋腫と診断した. 以後, 妊娠30週に切迫早産で入院管理となるも, 児発育良好で腫瘍径に変化なく経過し, 妊娠37週に腫瘍による産道通過障害および骨盤位を適応に選択的帝王切開術を施...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 591 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
2001
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Summary: | 悪性中皮腫は漿膜から発生し, 発生頻度は0. 1例/人口10万/年で, 好発年齢は50歳前後とされ, 腹膜原発はその1/3と比較的稀な腫瘍である. 今回, 我々は若年女性の妊娠中に発症したと思われ, 偶然発見された悪性腹膜中皮腫を経験したので報告する. 症例は, 24歳初産婦, アスベスト暴露歴は不明. 妊娠28週に下腹痛を主訴に当科救急外来初診. 超音波断層法でダグラス窩に6cm大の腫瘍を認め, MRIを施行し子宮筋腫と診断した. 以後, 妊娠30週に切迫早産で入院管理となるも, 児発育良好で腫瘍径に変化なく経過し, 妊娠37週に腫瘍による産道通過障害および骨盤位を適応に選択的帝王切開術を施行. 同時にダグラス窩の腫瘍摘出術も行った. 腫瘍は子宮後壁に付着し, 肉眼的に変性した子宮筋腫と思われた. しかし組織像は, 比較的厚い線維性被膜を有する腫瘍で, 核内細胞質封入体をみる多形核, 好酸性で広い細胞質よりなる腫瘍細胞が敷石状に配列し, 一見脱落膜組織様も, 線維性被膜内への浸潤像が見られることから悪性が考慮され, さらに, 免疫組織化学的検査による検討の結果, 悪性腹膜中皮腫と診断された. 悪性中皮腫は術前診断が困難な腫瘍であるものの, 本症例は妊娠中であったため診察機会が多く, さらに帝王切開術で開腹の機会を得たため, 摘出が行なう事が出来たと考えられた. |
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ISSN: | 1345-4676 |