P-10)甲状腺髄様癌と鑑別困難であった甲状腺腺腫の1例

細胞診にて髄様癌, 組織診にて濾胞腺腫と診断された症例を経験したので報告する. 症例:26歳, 女性. 平成13年4月, 甲状腺腫脹を主訴に当院受診. 超音波検査上, 甲状腺右葉に結節性腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診が施行された. Class V, 髄様癌と判定され, CEA, カルシトニンともに正常範囲で髄様癌と矛盾した. 再鏡検を施行しClass III, 良悪性判定は困難であると訂正され, 内視鏡下に甲状腺右葉切除術が施行され濾胞腺腫と診断された. 細胞所見:アミロイド様物質を背景に, 結合性の低下, 核の偏在性を示す, 紡錘型の異型細胞が多数認められた. 細胞質内に顆粒も認められた. 組...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 574
Main Authors: 村瀬幸宏, 並松茂樹, 渡会泰彦, 田村浩一, 杉崎祐一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2001
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Summary:細胞診にて髄様癌, 組織診にて濾胞腺腫と診断された症例を経験したので報告する. 症例:26歳, 女性. 平成13年4月, 甲状腺腫脹を主訴に当院受診. 超音波検査上, 甲状腺右葉に結節性腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診が施行された. Class V, 髄様癌と判定され, CEA, カルシトニンともに正常範囲で髄様癌と矛盾した. 再鏡検を施行しClass III, 良悪性判定は困難であると訂正され, 内視鏡下に甲状腺右葉切除術が施行され濾胞腺腫と診断された. 細胞所見:アミロイド様物質を背景に, 結合性の低下, 核の偏在性を示す, 紡錘型の異型細胞が多数認められた. 細胞質内に顆粒も認められた. 組織所見:腫瘍は, 薄い線維性被膜により完全に被包化され, 大小の濾胞の増生を主体とするも, 一部に中心に線維化を伴い放射状に増生する濾胞上皮が認められた. 考察:濾胞腺腫には, しばしば多彩な像を呈し, 悪性との鑑別が困難な症例があり, 細胞診では, 細胞異型の強さから悪性と過剰判定しがちである. 本例のように髄様癌を疑った場合には, 安易に悪性と断定せず, 臨床の検査データなども参考に, 慎重に判定することが望ましいと考えられた.
ISSN:1345-4676