1)甲状腺癌の予後と遺伝子異常
背景目的:甲状腺癌は比較的予後良好な甲状腺乳頭癌から悪性度の高い甲状腺未分化癌まで予後は様々であり, 遺伝子異常と予後の関係について検討した. 対象および方法:甲状腺乳頭癌69例(予後良好群:45例, 予後良好群:24例), 甲状腺濾胞癌66例, 未分化癌21例の腫瘍部および非腫瘍部DNAを抽出し, 第1~22番染色体短腕, 長腕に対し1個, 計39個のmicrosatellite markerをPCR法で増幅し, 電気泳動後, autoradiographyにてLOHの有無を判定した. 結果:x予後良好乳頭癌, 予後不良乳頭癌, 濾胞癌および未分化癌の染色体領域あたりの平均LOH頻度は2....
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 4; p. 355 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
2001
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Summary: | 背景目的:甲状腺癌は比較的予後良好な甲状腺乳頭癌から悪性度の高い甲状腺未分化癌まで予後は様々であり, 遺伝子異常と予後の関係について検討した. 対象および方法:甲状腺乳頭癌69例(予後良好群:45例, 予後良好群:24例), 甲状腺濾胞癌66例, 未分化癌21例の腫瘍部および非腫瘍部DNAを抽出し, 第1~22番染色体短腕, 長腕に対し1個, 計39個のmicrosatellite markerをPCR法で増幅し, 電気泳動後, autoradiographyにてLOHの有無を判定した. 結果:x予後良好乳頭癌, 予後不良乳頭癌, 濾胞癌および未分化癌の染色体領域あたりの平均LOH頻度は2. 9%, 10. 4%, 9. 2%, 20. 1%, fractional allelic loss(FAL)は0. 03, 0. 10, 0. 09, 0. 19であった. また, 30%以上の高頻度LOHを示した染色体領域は, 予後良好乳頭癌では検出されず, 予後不良乳頭癌1q(37%), 9p(36%), 9q(31%), 22q(33%), 濾胞癌7q(29%), 11p(27%), 22q(45%), 未分化癌では1q(40%), 9p(58%), 11p(33%), llq(33%), 17P(44%), 17q(43%), 1gP(36%), 22q(38%)に検出された. 考察:甲状腺乳頭癌の予後不良に関連する可能性のある染色体領域が示唆され, 甲状腺濾胞癌における染色体欠失率は乳頭癌より高率, 未分化癌より低率であり, 6q, 15q, 20pのLOH症例で有意に高い再発転移率を示した. |
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ISSN: | 1345-4676 |