P-67)Normal sized ovarian carcinomaの1例

卵巣癌の診断には, 一般に卵巣腫瘤の存在が不可欠であるが, 1989年にFeuerらは, 卵巣がほぼ正常大であるにもかかわらず, 卵巣に悪性病変が存在し腹腔内に転移性病変を認めた症例を報告し, normal sized ovarian carcinomaという臨床概念を提唱した. 今回, 我々はnormal sized ovarian carcinomaの1症例を経験した. 症例は64歳0回経妊0回経産, 婦人科検診にて子宮内膜細胞診classVを指摘され, 当院へ紹介受診となった. 初診時, 内診, 経膣超音波上子宮, 付属器に異常所見なし. 試験掻爬の結果子宮内膜組織に異常を認めなかったも...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 532
Main Authors: 永野玲子, 神戸仁, 三田俊二, 横田明重, 中井章人, 佐々木茂, 越野立夫
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2000
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Description
Summary:卵巣癌の診断には, 一般に卵巣腫瘤の存在が不可欠であるが, 1989年にFeuerらは, 卵巣がほぼ正常大であるにもかかわらず, 卵巣に悪性病変が存在し腹腔内に転移性病変を認めた症例を報告し, normal sized ovarian carcinomaという臨床概念を提唱した. 今回, 我々はnormal sized ovarian carcinomaの1症例を経験した. 症例は64歳0回経妊0回経産, 婦人科検診にて子宮内膜細胞診classVを指摘され, 当院へ紹介受診となった. 初診時, 内診, 経膣超音波上子宮, 付属器に異常所見なし. 試験掻爬の結果子宮内膜組織に異常を認めなかったものの, 発生起源不明な腺癌が確認された. 子宮体癌を疑い, 精査, 加療目的で入院. 全身検索では上腹部CTにて肝臓に多発性転移巣を疑わせる陰影が認められた. 確定診断を得るため開腹手術を施行. 子宮, 卵管に異常なく, 両側卵巣は軽度腫大し外向発育性の乳頭状腫瘤を認め, ダグラス窩に腹膜播種を確認, normal sized ovarian carcinomaと診断した. 単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した後, 腹腔内にCDDP80mgを注入し手術を終了した, 術後病理検査にて卵巣未分化癌と診断, TJ全身投与療法を施行した. 現在3クール目を終了し治療継続中であるが, 残存腫瘍の拡大, 転移巣の増悪は認められない. 本症例に若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-4676