19)心,横隔膜,肝,下大静脈を損傷した刺創の一救命例
心損傷は, 単独損傷であっても救命率は低いと言われている. 今回, 我々は心, 横隔膜, 肝, 下大静脈を損傷した刺創の一救命例を報告する. 症例は72歳, 男性. 現病歴:1998年5月1日, 自殺目的で立木に刺身包丁をくくりつけ, それに身体をぶつけて前胸部に刺創を負った. 倒れていたのを通行人に発見され, 救急車にて当センターに搬送された. 既往歴:大腸癌, 痴呆. 来院時:意識レベルII-20(JCS), 血圧触知不能, 心拍数84/分, 呼吸数24/分, 体温35.0度. 超音波, 胸腹部CTにて心嚢液貯留, 腹腔内出血を認め緊急手術となる. 手術は, 胸骨縦切開にて心嚢前面に到達....
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 66; no. 1; p. 64 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
1999
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Summary: | 心損傷は, 単独損傷であっても救命率は低いと言われている. 今回, 我々は心, 横隔膜, 肝, 下大静脈を損傷した刺創の一救命例を報告する. 症例は72歳, 男性. 現病歴:1998年5月1日, 自殺目的で立木に刺身包丁をくくりつけ, それに身体をぶつけて前胸部に刺創を負った. 倒れていたのを通行人に発見され, 救急車にて当センターに搬送された. 既往歴:大腸癌, 痴呆. 来院時:意識レベルII-20(JCS), 血圧触知不能, 心拍数84/分, 呼吸数24/分, 体温35.0度. 超音波, 胸腹部CTにて心嚢液貯留, 腹腔内出血を認め緊急手術となる. 手術は, 胸骨縦切開にて心嚢前面に到達. 3cmの刺創を認めた. 心嚢切開にて中等度の凝血塊を摘出, 右室壁に2カ所の損傷を認め縫合修復. なお, 心嚢後面, 横隔膜を貫通しており, 同部からの活動性出血を認めた. 同部からの視診にて深い肝の損傷が疑われ, 引き続き開腹術施行. 開腹所見では肝外側区域が貫通されており, 外側区域脱転後縫合止血した. しかし, 後腹膜よりおびただしい出血があり下大静脈損傷を疑い, 同部をタオルパッキングし急速輸液輸血の準備を整えたうえで, 下大静脈損傷部位を露出し縫合修復した. 経過:術後, 胸水貯留を認めたが, その他重篤な合併症もなく退院となった. |
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ISSN: | 1345-4676 |