P-60)胃癌の硬膜転移に慢性硬膜下血腫を合併した1症例
目的:悪性腫瘍の遠隔転移の一つである頭蓋内転移は, 肺癌および乳癌が頻度の高い原発巣として知られている. また, 転移性脳腫瘍に慢性硬膜下血腫を合併することは比較的まれなことである. 今回, 我々は胃癌の硬膜転移に慢性硬膜下血腫を合併した1症例を経験したので報告する. 対象および方法:症例は58歳女性. 98年2月発症の胃癌に対して5月胃全摘術を施行した. 術後2週目頃より脱力感, 頭痛を訴えたため頭部CTを行ったところ, 左側硬膜下腔にfluid collectionを認め, また6月初句構語障害, 右片麻痺が出現したため当科紹介となった. 頭部MRI上脳表から白質に向かい異常血管と思われる...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 6; pp. 546 - 547 |
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Main Authors: | , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
1998
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Summary: | 目的:悪性腫瘍の遠隔転移の一つである頭蓋内転移は, 肺癌および乳癌が頻度の高い原発巣として知られている. また, 転移性脳腫瘍に慢性硬膜下血腫を合併することは比較的まれなことである. 今回, 我々は胃癌の硬膜転移に慢性硬膜下血腫を合併した1症例を経験したので報告する. 対象および方法:症例は58歳女性. 98年2月発症の胃癌に対して5月胃全摘術を施行した. 術後2週目頃より脱力感, 頭痛を訴えたため頭部CTを行ったところ, 左側硬膜下腔にfluid collectionを認め, また6月初句構語障害, 右片麻痺が出現したため当科紹介となった. 頭部MRI上脳表から白質に向かい異常血管と思われるhigh intensity areaがみられ, 血腫量に比べmass effectの強いものであった. 髄液細胞診ではclass IIであり転移の確診が得られなかったため, 6月26日穿頭血腫洗浄術を施行し, 同時に硬膜, 血腫外膜および血腫を採取した. 結果:生検した硬膜および血腫外膜からはadenocarcinoma cellが認められた. また, 術中吸引した血腫は粘性度は低かったが採取後数分で凝固した. 考察:本症例は胃癌の硬膜転移により慢性硬膜下血腫を生じたまれな1例であり, その画像所見も通常の慢性硬膜下血腫とは異なり特徴的であった. |
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ISSN: | 1345-4676 |