P-79)高齢者腹部大動脈瘤の臨床的検討
目的, 対象:腹部大動脈瘤手術症例69例のうちの非破裂例64例(男性51例, 女性13例, 平均68.5歳)を, 75歳以上の高齢群(21例, 平均78.5歳)と, 75歳未満の壮年群(43例, 平均63.6歳)にわけて臨床的検討を行った. 結果:1)術前合併症としては, 腎機能障害が高齢群において有意に高率であった. また, 喫煙, 高血圧は両群ともに高率にみられた. 2)術前検査データでは, 24hrCcrとFEV1.0%が高齢群において有意に低値であった. 3)手術因子として, 瘤サイズ, 手術時間, 大動脈遮断時間, 出血量には両群間で有意差はみられなかった. 4)術前後の血清Crに関...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 63; no. 6; p. 560 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
1996
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Summary: | 目的, 対象:腹部大動脈瘤手術症例69例のうちの非破裂例64例(男性51例, 女性13例, 平均68.5歳)を, 75歳以上の高齢群(21例, 平均78.5歳)と, 75歳未満の壮年群(43例, 平均63.6歳)にわけて臨床的検討を行った. 結果:1)術前合併症としては, 腎機能障害が高齢群において有意に高率であった. また, 喫煙, 高血圧は両群ともに高率にみられた. 2)術前検査データでは, 24hrCcrとFEV1.0%が高齢群において有意に低値であった. 3)手術因子として, 瘤サイズ, 手術時間, 大動脈遮断時間, 出血量には両群間で有意差はみられなかった. 4)術前後の血清Crに関しては両群間では差はみられなかったが, 両群とも術後Crの有意な上昇を認めた. 5)術後合併症に関しては, 高齢群において有意に腎機能障害の発生をみた. 6)手術死亡率は全体で3.1%(壮年群の2例), 遠隔期死亡率は全体で28.6%, 高齢群が33.3%, 壮年群は26.3%で有意差はなく, 両群とも虚血性心疾患, 脳血管障害が多くを占めていた. 7)累積5年生存率は, 全体で81.5%, 高齢群66.8%, 壮年群87.4%であった. 考察:遠隔期成績より, 高齢者の腹部大動脈瘤手術は積極的に行うのもよいが, 高齢者の特徴である臓器予備能力の低下(特に腎機能の潜在的低下)を念頭にいれた術式, 周術期管理が重要である. |
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ISSN: | 1345-4676 |