8)日本人とタイ人における胃炎像の病理組織学的比較(第1報):Helicobacter pylori感染と胃炎の関係を中心として

目的:日本人には萎縮性胃炎, 胃癌が多く, 日本人よりHelicobacter pylori(H. pylori)感染率が高いタイ人には, 両病変は少ない. そこで民族差による胃炎像の違いを知るため, 内視鏡的正常例を含む各種胃粘膜病変に3定点生検法を施行し, 日本人, タイ人の胃粘膜病変の違いを組織学的に比較検討した. 対象および方法:タイ人34例(チェンマイ市ガビラ陸軍病院)と, 年齢, 性別, 内視鏡診断を同一のものとした日本人47例(当院)につき, 幽門大彎, 体上部大彎, 胃角上部小彎より定点生検し, HE染色, 改良トルイジン青染色, 抗H. pylori抗体を用いた免疫染色を施行...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 63; no. 6; p. 527
Main Authors: プラカシュジャドウ, 山田宣孝, 相田成隆, 松本光司, 温敏, 大塚俊司, 佐藤春明, 村瀬幸宏, 相田昌子, 早澤久美, 松久威史
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 1996
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Description
Summary:目的:日本人には萎縮性胃炎, 胃癌が多く, 日本人よりHelicobacter pylori(H. pylori)感染率が高いタイ人には, 両病変は少ない. そこで民族差による胃炎像の違いを知るため, 内視鏡的正常例を含む各種胃粘膜病変に3定点生検法を施行し, 日本人, タイ人の胃粘膜病変の違いを組織学的に比較検討した. 対象および方法:タイ人34例(チェンマイ市ガビラ陸軍病院)と, 年齢, 性別, 内視鏡診断を同一のものとした日本人47例(当院)につき, 幽門大彎, 体上部大彎, 胃角上部小彎より定点生検し, HE染色, 改良トルイジン青染色, 抗H. pylori抗体を用いた免疫染色を施行し, シドニーシステムにもとづき, H. pylori感染とActivityにつき, その程度を比較検討した. 結果:H. pylori陽性例は, タイ人群で27/34例, 日本人群で42/47例であり, H. pylori感染の程度をActivityの程度が上回った例はタイ人群で7%, 日本人群で21%, 両者が同じ程度であった例は, それぞれ30%, 45%であった. 考察:Activityを表す好中球浸潤の程度とH. pylori感染の程度が, 日本人群ではほぼ比例し(66%), タイ人群では比例する例が少なかった(37%)ことは, タイ人に萎縮性胃炎が少なく胃癌の発生が少ない事実と関係するかもしれない.
ISSN:1345-4676