小児頭部外傷患者の脳波の検討

小児頭部外傷患者に脳波検査を行うことは予後を判断する有力な手段の一つである. しかし軽症例小児における脳波所見で異常てんかん患者にみられる突発波が比較的高率にみられ, そのうちの大多数にてんかん発作の出現を認めず経過する事例にしばしば遭遇する. これは受診する患者の将来はいうに及ばず, 受傷の原因が第3者行為によるとみなされるものが多く, そのため将来の予後を含めてmedicolegalな見地より解答を迫られて困惑する. てんかん発作の発現したものに関してはWalkerの基準が広く認められているが, 小児の場合はこの基準のみでは十分でない. 脳波所見に異常を呈し, 発作を欠く症例はsubcli...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 178
Main Authors: 狩野光将, 宮尾泰慶, 谷脇浩一, 前田泰孝, 若山曉, 黄祖源
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1983
Online Access:Get full text
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Description
Summary:小児頭部外傷患者に脳波検査を行うことは予後を判断する有力な手段の一つである. しかし軽症例小児における脳波所見で異常てんかん患者にみられる突発波が比較的高率にみられ, そのうちの大多数にてんかん発作の出現を認めず経過する事例にしばしば遭遇する. これは受診する患者の将来はいうに及ばず, 受傷の原因が第3者行為によるとみなされるものが多く, そのため将来の予後を含めてmedicolegalな見地より解答を迫られて困惑する. てんかん発作の発現したものに関してはWalkerの基準が広く認められているが, 小児の場合はこの基準のみでは十分でない. 脳波所見に異常を呈し, 発作を欠く症例はsubclinical epilepsyなどと呼称されているが, てんかん予備軍としてよいか否か迷うところである. 過去約5年間に我々の外来を訪れた15歳以下の小児頭部外傷例につき逐次分析をすすめた.
ISSN:0470-8105