感染性慢性硬膜下血腫から硬膜下膿瘍へ進展した1例

慢性硬膜下血腫(CSDH)に感染をきたし, 更に硬膜下膿瘍にまで進展した症例を報告し考察した. 症例は70歳男性. 軽微な頭部外傷の既往多数. 開放性頭部外傷, 耳鼻科領域感染症の既往なし. 1週間前38.3℃の発熱. その頃より右片麻痺と運動性失語出現. 当科入院時36.6℃, WBC9, 200, CRP6(+). CTはmidline shiftを伴うCSDH様であったが, 手術所見よりすでに感染を併発したCSDHと判明し, E-coliを検出した. 全身的に抗生物質を投与しつつCTで追跡すると, 20日後に膿瘍化したため, 排膿と抗生物質による洗浄を行い, 完治せしめた. CSDHに感...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 81
Main Authors: 西川亮, 平田裕, 久保俊朗, 池田彰宏, 杉山弘行
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:慢性硬膜下血腫(CSDH)に感染をきたし, 更に硬膜下膿瘍にまで進展した症例を報告し考察した. 症例は70歳男性. 軽微な頭部外傷の既往多数. 開放性頭部外傷, 耳鼻科領域感染症の既往なし. 1週間前38.3℃の発熱. その頃より右片麻痺と運動性失語出現. 当科入院時36.6℃, WBC9, 200, CRP6(+). CTはmidline shiftを伴うCSDH様であったが, 手術所見よりすでに感染を併発したCSDHと判明し, E-coliを検出した. 全身的に抗生物質を投与しつつCTで追跡すると, 20日後に膿瘍化したため, 排膿と抗生物質による洗浄を行い, 完治せしめた. CSDHに感染した場合, 血腫内膜で脳実質と隔離されているためか炎症症状に乏しい例が多く, 術前診断が困難である. また逆に予後は一般に良好で, 本症例も穿頭と, 局所及び全身的抗生物質投与によって完治させることができた.
ISSN:0470-8105