Harrington instrumentation (H.I.)による転移性胸腰椎腫瘍の治療

転移性脊椎腫瘍の外科治療の目的は, 腫瘍の除去, 神経系の除圧, 支持性の再建である. 不安定性脊椎2例で, H.I.の装着により支持性を回復し, 早期離床が可能だつたので報告した. 症例1:53才女性. 乳癌術後6年目にTh_11 以下の対麻痺となり, Th_10-11 椎弓切除とH.I.装着, radiationを施行し6ヵ月間の歩行生活ができた. 症例2:63才女性. 原発巣不明, L_1 以下の対麻痺となり, Th_12 -L_1 椎弓切除後H.I.装着, radiation後歩行訓練中である. 転移性脊椎腫瘍に神経系への除圧目的で椎弓切除を行うことは, 脊椎の支持性を減ずることになる...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; pp. 122 - 123
Main Authors: 江守巧, 中村勉, 渡辺日出海, 加藤甲, 郭隆燦, 角家暁
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1982
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Description
Summary:転移性脊椎腫瘍の外科治療の目的は, 腫瘍の除去, 神経系の除圧, 支持性の再建である. 不安定性脊椎2例で, H.I.の装着により支持性を回復し, 早期離床が可能だつたので報告した. 症例1:53才女性. 乳癌術後6年目にTh_11 以下の対麻痺となり, Th_10-11 椎弓切除とH.I.装着, radiationを施行し6ヵ月間の歩行生活ができた. 症例2:63才女性. 原発巣不明, L_1 以下の対麻痺となり, Th_12 -L_1 椎弓切除後H.I.装着, radiation後歩行訓練中である. 転移性脊椎腫瘍に神経系への除圧目的で椎弓切除を行うことは, 脊椎の支持性を減ずることになる. 我々の2例では明らかな不安定性脊椎と診断し, でH.I.の内固定により背柱の支持性回復後, 術後1週目の離床と機能回復訓練が可能であった. 本症における内固定は長期生存可能な例に適応となるが, H.I.による支持性の再建により, 過去に行った椎弓切除とradiationによる治療と比べて, より長期のusefull lifeが期待しうると考えている.
ISSN:0470-8105