小児水頭症の脳血管写上の特徴

脳血管写によりあらゆる型の水頭症が診断可能とするRaimondiらの立場と, 軽症の水頭症では気脳写の方が診断率が高く, 脳血管写がすべて気脳写におきかえられることは, 不可能とするSwishukらの立場がある. 今回われわれの経験した比較的重症の水頭症の脳血管写について検討した. 前大脳動脈および中大脳動脈の走行の変化は一般的な所見とされているが, 前後像で, 前大脳動脈の伸展像は脳圧亢進を示す所見にすぎないが, 頭蓋の非対称のある症例にみられる一側に単に偏位した伸展像は髄膜炎後の水頭症に多い. 側面像の前大脳動脈はtuberculumとbregmを結んだ線(TB線の)の中点より正常範囲の6...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 15; no. suppl; pp. 108 - 109
Main Authors: 河野守正, 中川邦夫, 中田義隆, 堀江武, 牧野博安
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1975
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Description
Summary:脳血管写によりあらゆる型の水頭症が診断可能とするRaimondiらの立場と, 軽症の水頭症では気脳写の方が診断率が高く, 脳血管写がすべて気脳写におきかえられることは, 不可能とするSwishukらの立場がある. 今回われわれの経験した比較的重症の水頭症の脳血管写について検討した. 前大脳動脈および中大脳動脈の走行の変化は一般的な所見とされているが, 前後像で, 前大脳動脈の伸展像は脳圧亢進を示す所見にすぎないが, 頭蓋の非対称のある症例にみられる一側に単に偏位した伸展像は髄膜炎後の水頭症に多い. 側面像の前大脳動脈はtuberculumとbregmを結んだ線(TB線の)の中点より正常範囲の6mmをはるかに越えていた. このTB線上の中点からの偏位と気脳写にする前角極での脳実質の厚みとの関係は減じるにしたがい前大脳動脈は上昇する傾向は認められるが, その高さからは厚みの推定は不可能である.
ISSN:0470-8105