ダールラットにおける心筋線維化に対してプロスタサイクリン誘導体(ベラプロストナトリウム)の長期投与が及ぼす作用

ベラプロストナトリウム(BPS)は、経口投与可能なプロスタサイクリン誘導体である。BPSは冠循環促進、心筋および血管保護作用、また心筋線維化抑制作用を有すると思われるが、圧負荷疾患におけるBPS投与による血行動態、心機能の変化および各相の心筋肥厚に対する効果については不明である。したがって、本研究では心筋線維化に対するBPS長期投与の効果についてダールラット高血圧性心不全モデルを用いて検討した。6週齢時に、ダールラットを3群(8%食塩摂取およびBPS投薬群;BPS、8%食塩摂取およびBPS非投薬群;HHF、低食塩摂取および非投薬群;Control)に分割し、17週齢時まで観察を実施した。17週...

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Published in:Journal of veterinary medical science Vol. 69; no. 12; pp. 1271 - 1276
Main Authors: 金重, 辰雄, 才田, 祐人, 田中, 綾, 曽田, 藍子, 福島, 彰子, 井田, 亘隆, 竹中, 雅彦, 山根, 義久
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 01-12-2007
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Description
Summary:ベラプロストナトリウム(BPS)は、経口投与可能なプロスタサイクリン誘導体である。BPSは冠循環促進、心筋および血管保護作用、また心筋線維化抑制作用を有すると思われるが、圧負荷疾患におけるBPS投与による血行動態、心機能の変化および各相の心筋肥厚に対する効果については不明である。したがって、本研究では心筋線維化に対するBPS長期投与の効果についてダールラット高血圧性心不全モデルを用いて検討した。6週齢時に、ダールラットを3群(8%食塩摂取およびBPS投薬群;BPS、8%食塩摂取およびBPS非投薬群;HHF、低食塩摂取および非投薬群;Control)に分割し、17週齢時まで観察を実施した。17週齢時のBPSおよびHHF群における生存率はそれぞれ87.5%および47.1%でありBPS投与による有意な死亡率低下が認められた。17週齢時の心房収縮期最大流速/拡張早期最大流速および心重量体重比は、BPS群においてHHF群と比較して有意に低値を示した。HHF群では、主に左室心内膜層および右室壁において重度の線維化が認められ、BPSおよびControl群と比較して有意に高値を示した。本実験において、BPS長期投与は非代償期における拡張機能の低下および心筋間質線維化を抑制し、BPSが高血圧性心筋肥大に対して有効であることが示唆された。
Bibliography:ZZ00004754
760091
ISSN:0916-7250