前庭系の空間認知における役割:特に海馬との関連について
「1. はじめに」「1.1. 空間認知と空間識」空間認知とは生体が空間内でどのような位置に存在するかを認識することで, 空間識とは空間認知に必要な感覚系と定義できる. 空間認知がうまく働かないと, 位置の認識ができないのみならずひいては位置の確認の連続とも言える「移動=navigation」も遂行できなくなる. 空間認知の障害は目的とする場所への移動の妨げとなり, 例えば帰巣運動, えさ場への移動, 危険からの回避などに支障をきたし生体にとって大きな不利益となる. 視覚, 嗅覚, 聴覚, 固有覚, 前庭覚などが空間識を形成する感覚系であると考えられるが, 視覚の発達した動物にとってはこの中でも...
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Published in: | めまい平衡医学 Vol. 63; no. 3; pp. 251 - 261 |
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Main Authors: | , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本めまい平衡医学会
01-06-2004
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Summary: | 「1. はじめに」「1.1. 空間認知と空間識」空間認知とは生体が空間内でどのような位置に存在するかを認識することで, 空間識とは空間認知に必要な感覚系と定義できる. 空間認知がうまく働かないと, 位置の認識ができないのみならずひいては位置の確認の連続とも言える「移動=navigation」も遂行できなくなる. 空間認知の障害は目的とする場所への移動の妨げとなり, 例えば帰巣運動, えさ場への移動, 危険からの回避などに支障をきたし生体にとって大きな不利益となる. 視覚, 嗅覚, 聴覚, 固有覚, 前庭覚などが空間識を形成する感覚系であると考えられるが, 視覚の発達した動物にとってはこの中でも視覚が最も重要である. しかし, 例えば特定の音やにおいへ向かっての移動は視覚がなくても可能であるし, 視覚, 聴覚, 嗅覚などの外界由来の情報(allocentric cue)がない場合は, どの方向へどのスピードでどれくらいの時間移動するか, という情報があればある程度目的にあった移動は可能である. |
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ISSN: | 0385-5716 |