4.ヒト骨髄間葉系幹細胞の運動能
【目的】これまで, 牛血清を含む培養液を用いることで生じる諸問題を解決するため, 治療の対象となる患者の自己血清を用いた培養環境がヒト骨髄間葉系幹細胞の増殖や運動能に有効か否かを調査してきた. 今回は特に運動能に対する影響を中心に, Preliminaryな結果ではあるが報告する. 【対象と方法】幹細胞のドナーは男性8例, 女性2例, 計10例で, 年齢は平均40.2歳(13歳から74歳)である. 対象疾患はいずれも群馬大学医学部のIRBに従い, 腸骨より自家骨を採取し骨移植を行う必要がある症例である. 今回は, これらのうちDonor2(以下STM2)について, 前回のMTT assayによ...
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Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 4; p. 365 |
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Main Authors: | , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
01-11-2004
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Abstract | 【目的】これまで, 牛血清を含む培養液を用いることで生じる諸問題を解決するため, 治療の対象となる患者の自己血清を用いた培養環境がヒト骨髄間葉系幹細胞の増殖や運動能に有効か否かを調査してきた. 今回は特に運動能に対する影響を中心に, Preliminaryな結果ではあるが報告する. 【対象と方法】幹細胞のドナーは男性8例, 女性2例, 計10例で, 年齢は平均40.2歳(13歳から74歳)である. 対象疾患はいずれも群馬大学医学部のIRBに従い, 腸骨より自家骨を採取し骨移植を行う必要がある症例である. 今回は, これらのうちDonor2(以下STM2)について, 前回のMTT assayによる増殖の比較と併せて, 運動能について報告する. 検討した培養条件は, Fetal bovine serum(以下FBS), human serum(以下HS)を基本的に添加し, 一部basic fibroblast growth factor(以下bFGF)を加えた条件も検討した. 採取したSTM2は, 21日間HSを添加した培養条件にて単層培養し, STM2を全コロイド上に播種した後に24時間後, 細胞の運動によりgold particleが欠如したphagokinetic trackを暗視野照明法にて画像処理し, NIH image softwareにて計測した. 【結果】MTT assay:FBS添加の条件とHS添加の条件は有意差はなかったが, bFGFを加えたHS添加の条件では有意な増殖促進効果が認められた. 他のDonorより採取した幹細胞では, HS添加条件が有意に増殖促進されていた. Motility assay:HS添加条件は, FBS添加のものと比して有意に遊走能が高くなった. また, bFGFを加えたFBS添加条件と, HS添加条件では統計学的に差は認められなかった. 興味深いのは, STM2に限っては, 同条件のMTT assayを用いた増殖促進の比較と対照的なことである. 【考察】分化誘導の面で, autologous serum添加条件は有用としている報告がみられるが, 我々は今回の研究において, 運動能の点からautologous serum添加が有用と結論したが, このことが組織の再生においていかなる意味を持つか, 今後検討したい. 【結語】1:細胞の運動能の点でもHS添加培養条件は有用であった. 2:増殖能と運動能における効果は必ずしも一致しなかった. |
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AbstractList | 【目的】これまで, 牛血清を含む培養液を用いることで生じる諸問題を解決するため, 治療の対象となる患者の自己血清を用いた培養環境がヒト骨髄間葉系幹細胞の増殖や運動能に有効か否かを調査してきた. 今回は特に運動能に対する影響を中心に, Preliminaryな結果ではあるが報告する. 【対象と方法】幹細胞のドナーは男性8例, 女性2例, 計10例で, 年齢は平均40.2歳(13歳から74歳)である. 対象疾患はいずれも群馬大学医学部のIRBに従い, 腸骨より自家骨を採取し骨移植を行う必要がある症例である. 今回は, これらのうちDonor2(以下STM2)について, 前回のMTT assayによる増殖の比較と併せて, 運動能について報告する. 検討した培養条件は, Fetal bovine serum(以下FBS), human serum(以下HS)を基本的に添加し, 一部basic fibroblast growth factor(以下bFGF)を加えた条件も検討した. 採取したSTM2は, 21日間HSを添加した培養条件にて単層培養し, STM2を全コロイド上に播種した後に24時間後, 細胞の運動によりgold particleが欠如したphagokinetic trackを暗視野照明法にて画像処理し, NIH image softwareにて計測した. 【結果】MTT assay:FBS添加の条件とHS添加の条件は有意差はなかったが, bFGFを加えたHS添加の条件では有意な増殖促進効果が認められた. 他のDonorより採取した幹細胞では, HS添加条件が有意に増殖促進されていた. Motility assay:HS添加条件は, FBS添加のものと比して有意に遊走能が高くなった. また, bFGFを加えたFBS添加条件と, HS添加条件では統計学的に差は認められなかった. 興味深いのは, STM2に限っては, 同条件のMTT assayを用いた増殖促進の比較と対照的なことである. 【考察】分化誘導の面で, autologous serum添加条件は有用としている報告がみられるが, 我々は今回の研究において, 運動能の点からautologous serum添加が有用と結論したが, このことが組織の再生においていかなる意味を持つか, 今後検討したい. 【結語】1:細胞の運動能の点でもHS添加培養条件は有用であった. 2:増殖能と運動能における効果は必ずしも一致しなかった. |
Author | 渡邊秀臣 高岸憲二 樋口博 篠崎哲也 小林勉 |
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