ヒスタミンH2受容体拮抗薬と食道カンジダ症の関連性

ヒスタミンH2受容体拮抗薬による胃内の低酸状態と食道カンジダ症の関連を検討した.免疫能の正常な42例の胃液中のCandida albicans検出率は,胃液pHが5以上で57.1%と, pH3以下の20.0%に比べ有意に高く,また,ヒスタミンH2受容体拮抗薬投与群のCandida albicans検出率は63.2%と非投与群の21.7%に比べ有意に高かった.すなわち,本薬の胃酸分泌抑制作用は胃内のCandida albicansの発育を助長すると考えられた.また,血液悪性疾患51例の検討では,本薬投与群の41.4%に食道カンジダ症を合併し,非投与群の22.7%に比べ有意に高く,免疫能の低下した...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 1546 - 1550
Main Authors: 小山田, 裕一, 吉川, 敏一, 内藤, 裕二, 上田, 茂信, 竹村, 俊樹, 森田, 豊, 田井中, 憲三, 粉川, 隆文, 杉野, 成, 近藤, 元治
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 10-10-1988
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Description
Summary:ヒスタミンH2受容体拮抗薬による胃内の低酸状態と食道カンジダ症の関連を検討した.免疫能の正常な42例の胃液中のCandida albicans検出率は,胃液pHが5以上で57.1%と, pH3以下の20.0%に比べ有意に高く,また,ヒスタミンH2受容体拮抗薬投与群のCandida albicans検出率は63.2%と非投与群の21.7%に比べ有意に高かった.すなわち,本薬の胃酸分泌抑制作用は胃内のCandida albicansの発育を助長すると考えられた.また,血液悪性疾患51例の検討では,本薬投与群の41.4%に食道カンジダ症を合併し,非投与群の22.7%に比べ有意に高く,免疫能の低下した症例に対する本薬の投与は食道カンジダ症を誘発する危険があると示唆された.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.77.1546