発症に抗神経細胞抗体が関与したと思われた昏睡・全身痙攣を主徴とした全身性エリテマトーデスの1例
中枢神経症状を合併する全身性エリテマトーデス(CNS-SLE)は頻度が高く,また予後も悪いことより最近注目されている.その発症には免疫学的機序が関与するといわれ,一般に免疫複合体沈着による脈絡叢障害説と抗神経細胞抗体による直接障害説がある.今回我々はSLEの経過中に昏睡,全身痙攣などの重篤な症状を呈したにもかかわらず,ステロイド薬の大量投与にて寛解しえたCNS-SLEの症例で免疫組織学的に検討の結果,抗神経細胞抗体(IgG)を確認した.患者は41才,女性. 8年来,顔面蝶形紅斑,手指足趾の凍瘡様皮疹をくり返し,昭和57年秋より上記症状の増悪とともに脱毛傾向を認め,血液検査などからSLEの疑診を...
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Published in: | 日本内科学会雑誌 Vol. 74; no. 9; pp. 1294 - 1299 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本内科学会
10-09-1985
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Summary: | 中枢神経症状を合併する全身性エリテマトーデス(CNS-SLE)は頻度が高く,また予後も悪いことより最近注目されている.その発症には免疫学的機序が関与するといわれ,一般に免疫複合体沈着による脈絡叢障害説と抗神経細胞抗体による直接障害説がある.今回我々はSLEの経過中に昏睡,全身痙攣などの重篤な症状を呈したにもかかわらず,ステロイド薬の大量投与にて寛解しえたCNS-SLEの症例で免疫組織学的に検討の結果,抗神経細胞抗体(IgG)を確認した.患者は41才,女性. 8年来,顔面蝶形紅斑,手指足趾の凍瘡様皮疹をくり返し,昭和57年秋より上記症状の増悪とともに脱毛傾向を認め,血液検査などからSLEの疑診を受けた.ステロイド薬は投与されず外来にて経過を観察したところ,翌年3月25日突然意識消失状態となり,その後昏迷状態のまま入院した.入院12時間後より昏睡に陥り全身痙攣も頻発した.入院時諸検査よりCNS-SLEと診断しprednisolone 200mg/dの大量投与を行ない意識障害は著明に改善し,第8病日には清明となつた.本症例では全経過を通じて血中免疫複合体は陰性のためその沈着による脈絡叢障害は否定的であり,また蛍光抗体間接法を用いた免疫組織学的検索にて抗神経細胞抗体を認めたので,今回の発症には自己抗体としての抗神経細胞抗体の関与が強く示唆された. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.74.1294 |