(4)日本医科大学集中治療室(ICU・CCU)の30年のあゆみと新たなる展開
日本医科大学付属病院ICU&CCUは1973年に設立され, ちょうど30年の節目にあたる. 東京都CCUネットワークの事務局があり, 『最高の医療を最も早く』をモットーに, 現在までに急性心筋梗塞3,512例, 急性大動脈解離334例, 急性肺血栓塞栓症265例, 難治性心不全1,287例, 致死性不整脈238例などを収容した. 急性心筋梗塞は, 積極的な血栓溶解療法とPCI(Percutaneous Coronary Intervention)によって, 肺血栓塞栓症もまた同様に, 大動脈解離は降圧療法に基づく偽腔血栓閉鎖型解離の増加によって, その死亡率は著明に低下した. しかし難...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; pp. 444 - 445 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
15-11-2004
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Summary: | 日本医科大学付属病院ICU&CCUは1973年に設立され, ちょうど30年の節目にあたる. 東京都CCUネットワークの事務局があり, 『最高の医療を最も早く』をモットーに, 現在までに急性心筋梗塞3,512例, 急性大動脈解離334例, 急性肺血栓塞栓症265例, 難治性心不全1,287例, 致死性不整脈238例などを収容した. 急性心筋梗塞は, 積極的な血栓溶解療法とPCI(Percutaneous Coronary Intervention)によって, 肺血栓塞栓症もまた同様に, 大動脈解離は降圧療法に基づく偽腔血栓閉鎖型解離の増加によって, その死亡率は著明に低下した. しかし難治性心不全の死亡率は種々の治療法によっても満足いく改善がみれず, かかる症例で心機能障害の進行(on going myocardial damage)をくい止める治療法がなお不十分と考える. さらに電気生理学的心不全治療法や遺伝子再生治療法などの普及が望まれる. 心原性ショックに対しては, 補助循環から心臓移植までを考慮した外科的治療と, 人工呼吸管理, 持続的血液濾過透析, 血漿交換などによる多臓器補助ユニットなどの組み合わせにより良い効果が得られるようになったが, まだその死亡率は高く, より良い植え込み型完全人工心臓の開発も期待される. 虚血性心疾患の本態はACS(acute coronary syndrome)の概念のもと心筋から冠動脈へと移行したが, 再びno reflow現象やリモデリングの原因となりうる心筋微少灌流に注目が集まっている. 診断基準として用いられてきたCPKが, トロポニンに変わったが迅速診断法も含めてその真の有用性はさらに検証されなければならい. CCUに収容されるまでになお多くの死亡例が存在すると考えられる. bistander CPR, AED, 救急救命士との連携(トリアージを含めた), Doctor ambulance方式の導入, 病院間ネットワーク(地域間, 都市間, 国際間)など, 一方では, 患者の高齢化, 重症複合疾患への対処法, ターミナルケアユニットの必要性, 増大する医療経費と保健医療問題など, なお解決しなければならない問題は多い. |
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ISSN: | 1345-4676 |