心血管奇形,腹部内臓逆位などの先天性異常を有する多脾症候群とGrawitz腫瘍とを合併した49才男性の1例
症例は49才の男性. 38才時心房中隔欠損と胃の逆位を指摘されたが放置した.昭和55年7月血尿と右上腹部腫瘤を主訴として当科に入院した.入院時貧血・浮種・チアノーゼなく,胸部で収縮・拡張両期の雑音とII音の固定性分裂を聴取し,右上腹部で手拳大の腫瘤を触知した.一般検査に加えて心臓血管撮影,心臓カテーテル検査,心エコー図,腹部血管撮影,消化管撮影,胆道撮影,肝シンチグラム,腹部CTスキャン,腹部エコーなどの諸検査を施行した結果, (1)多脾, (2)心房中隔欠損(左胸心), (3)奇静脈結合を伴う下大静脈遮断, (4)腹部内臓逆位, (5)腸回転異常, (6)肝異常分葉, (7)低位気管分岐,...
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Published in: | 日本内科学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 502 - 506 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本内科学会
10-04-1982
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Summary: | 症例は49才の男性. 38才時心房中隔欠損と胃の逆位を指摘されたが放置した.昭和55年7月血尿と右上腹部腫瘤を主訴として当科に入院した.入院時貧血・浮種・チアノーゼなく,胸部で収縮・拡張両期の雑音とII音の固定性分裂を聴取し,右上腹部で手拳大の腫瘤を触知した.一般検査に加えて心臓血管撮影,心臓カテーテル検査,心エコー図,腹部血管撮影,消化管撮影,胆道撮影,肝シンチグラム,腹部CTスキャン,腹部エコーなどの諸検査を施行した結果, (1)多脾, (2)心房中隔欠損(左胸心), (3)奇静脈結合を伴う下大静脈遮断, (4)腹部内臓逆位, (5)腸回転異常, (6)肝異常分葉, (7)低位気管分岐, (8)右腎の二重腎盂などの先天性奇形,並びに右腎に発生したGrawitz腫瘍と診断した.昭和55年9月泌尿器科で右腎摘除術施行. 7×7×7.5cm大のGrawitz腫瘍を確認した.内臓の奇形や位置異常を伴う多脾症候群の症例報告は本邦で今までに36例あるが,その殆どは小児例であり成人例は3例にすぎない.しかも血行力学的に有意な心奇形を有する例はこのうち21才の1例にすぎない.本例はかくの如き心奇形を有する例としては希な長期生存例である.また多脾症候群に腫瘍が合併した症例の報告は内外になく,本症候群と腫瘍発生との関連については今後の検討を要する問題であろう. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.71.502 |