高齢者で誤嚥性肺炎を繰り返す食道裂孔ヘルニアに対し腹腔鏡下噴門形成術が有用であった1例
症例は84歳女性で, 平成22年1月, 頻回の嘔吐と発熱のため近医に入院した. 精査の結果, 食道裂孔ヘルニアに起因する通過障害による誤嚥性肺炎と診断された. 食道裂孔ヘルニアは混合型で巨大であり, CT上胃と膵尾部が縦郭内に脱出していた. 禁飲食とし補液と抗生剤で加療した. 禁飲食により嘔吐はすぐに軽快したが, 食事を開始すると嘔吐し肺炎を繰り返した. また, 肺炎のため長期臥床を余儀なくされ, 廃用症候群となりリハビリテーションを必要とした. その間は, 経口での水分摂取のみを行った. 同年3月, 自力で短時間の歩行が可能となり, 酸素投与も必要なくなったため手術目的で当科に転院した. 手...
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Published in: | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 2; pp. 193 - 197 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
北関東医学会
01-05-2011
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Summary: | 症例は84歳女性で, 平成22年1月, 頻回の嘔吐と発熱のため近医に入院した. 精査の結果, 食道裂孔ヘルニアに起因する通過障害による誤嚥性肺炎と診断された. 食道裂孔ヘルニアは混合型で巨大であり, CT上胃と膵尾部が縦郭内に脱出していた. 禁飲食とし補液と抗生剤で加療した. 禁飲食により嘔吐はすぐに軽快したが, 食事を開始すると嘔吐し肺炎を繰り返した. また, 肺炎のため長期臥床を余儀なくされ, 廃用症候群となりリハビリテーションを必要とした. その間は, 経口での水分摂取のみを行った. 同年3月, 自力で短時間の歩行が可能となり, 酸素投与も必要なくなったため手術目的で当科に転院した. 手術は腹腔鏡下で噴門形成術 (Nissen法) を行った. 術後経過は良好で, 手術翌日から離床を開始し, 第2病日より食事を開始し, 第10病日に退院となった. 今回, 高齢者の食道裂孔ヘルニアに対し合併症なく安全に腹腔鏡下噴門形成術を行い, 頻回におこった誤嚥性肺炎の予防に有用であった症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
DOI: | 10.2974/kmj.61.193 |