脳腫瘍栄養血管塞栓術後の体温上昇

【目的】血流豊富な脳腫瘍に対する腫瘍流入血管塞栓術(腫瘍塞栓術)は,術中の出血量減少や腫瘍軟化という点から有用な補助療法として摘出術前に広く行われている.しかし,腫瘍塞栓術後に発熱が生ずることがあり,周術期の全身管理を煩雑にする場面もある.そこで,当院で施行した髄膜腫手術症例の体温変化について解析を行った.【方法】2017 年 4 月 1 日から 2021 年 3 月 31 日の間で,当院で摘出術を行った髄膜腫症例 38 例を対象に,腫瘍塞栓術を施行した群(施行群)と施行しなかった群(無施行群)に分類し,各々体温変化につき後方視的解析を行った.また,造影剤使用量について 100 mL 以上の群...

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Published in:脳血管内治療 Vol. 6; no. 2; pp. 68 - 73
Main Authors: 田中, 悠介, 畑岡, 峻介, 石川, 駿, 長嶋, 薫, 関口, 徳朗, 野田, 尚志, 瓜生, 康浩, 谷野, 慎, 岡田, 富, 宮原, 宏輔
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2021
Subjects:
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Description
Summary:【目的】血流豊富な脳腫瘍に対する腫瘍流入血管塞栓術(腫瘍塞栓術)は,術中の出血量減少や腫瘍軟化という点から有用な補助療法として摘出術前に広く行われている.しかし,腫瘍塞栓術後に発熱が生ずることがあり,周術期の全身管理を煩雑にする場面もある.そこで,当院で施行した髄膜腫手術症例の体温変化について解析を行った.【方法】2017 年 4 月 1 日から 2021 年 3 月 31 日の間で,当院で摘出術を行った髄膜腫症例 38 例を対象に,腫瘍塞栓術を施行した群(施行群)と施行しなかった群(無施行群)に分類し,各々体温変化につき後方視的解析を行った.また,造影剤使用量について 100 mL 以上の群と 100 mL 未満の群に分類し検討を行った.【結果】施行群では全例で体温上昇を認め,無施行群と比較し有意に体温上昇していた.造影剤使用量 100 mL 以上の群では 100 mL 未満の群と比較し有意に体温上昇していた.【結論】腫瘍塞栓術後,有意に体温上昇を認めたことから,摘出術前の発熱はその熱源として,造影剤使用量,腫瘍塞栓術が関与している可能性が考えられる.また,本知見から腫瘍塞栓術後の発熱は必ずしも感染症に由来するとは限らず,患者および医療従事者へのさらなる負担軽減に寄与すると考えられる.
ISSN:2423-9119
2424-1709
DOI:10.20626/nkc.oa.2021-0011