当院めまいセンターにおけるメニエール病内リンパ水腫陽性率の検討

「はじめに」 めまいの原因は診療科の垣根を越えて多岐にわたるため, 原因となる病態の診断や治療が困難であることは珍しくない. そこで当科では, 他院で原因不明とされた, いわゆるめまい症の患者や生活指導, 薬物治療に抵抗性の難治性めまい患者を対象として, 1週間の検査入院を行い, 客観的にめまい・平衡障害を評価し, 適切な診断, 治療を行うことを目指している. 1938年に大阪の山川, ロンドンのHallpikeらは, メニエール病症例の側頭骨病理所見が内リンパ水腫であることを, ヒト剖検例から報告した. その後, 蝸牛系の推定検査としてグリセロール・テストおよび蝸電図, 前庭系の推定検査とし...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 77; no. 3; pp. 158 - 164
Main Authors: 伊藤, 妙子, 乾, 洋史, 塩崎, 智之, 藤田, 信哉, 和田, 佳郎, 山中, 敏彰, 北原, 糺
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 30-06-2018
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」 めまいの原因は診療科の垣根を越えて多岐にわたるため, 原因となる病態の診断や治療が困難であることは珍しくない. そこで当科では, 他院で原因不明とされた, いわゆるめまい症の患者や生活指導, 薬物治療に抵抗性の難治性めまい患者を対象として, 1週間の検査入院を行い, 客観的にめまい・平衡障害を評価し, 適切な診断, 治療を行うことを目指している. 1938年に大阪の山川, ロンドンのHallpikeらは, メニエール病症例の側頭骨病理所見が内リンパ水腫であることを, ヒト剖検例から報告した. その後, 蝸牛系の推定検査としてグリセロール・テストおよび蝸電図, 前庭系の推定検査としてフロセミド試験が行われ, メニエール病診断の一助となってきた. そのうち, グリセロール・テストおよび蝸電図はともに, 60%程度の内リンパ水腫検出率に留まった. 今世紀に入り2006年にNakashima, Naganawaらは, ガドリニウムの経中耳腔投与, 経静脈投与を用いた内耳造影MRIにより, 画像的に内リンパ水腫の検出に成功した.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.77.158