下眼瞼向き眼振など多彩な ENG 所見を認めた炭酸リチウム服用例

「はじめに」炭酸リチウム(Li)は, 双極性障害, 単極性障害, 難治性うつ等の治療薬として1949年以降国内外で広く使用されている非常に有用な薬剤である. しかしながら, その一方, 血中有効濃度域と中毒域の境界が互いに近接しているため, Li中毒症状がしばしばみられ慎重投与が求められる. Li中毒症状としては, 小脳症状が最も顕著に認められるが, それ以外にも痙攣, 昏睡, 譫妄, Parkinson病様症状(仮面様顔貌, 筋固縮, 無動, 安静時振戦, 小刻み歩行), 錐体外路症状(choreo-athetosis, dystonia), 錐体路徴候(深部腱反射亢進, 痙縮), 筋症状,...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 80; no. 1; pp. 10 - 23
Main Authors: 横田, 淳一, 井下, 綾子, 佐藤, 将盛, 山口, 洋子
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 28-02-2021
日本めまい平衡医学会
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Description
Summary:「はじめに」炭酸リチウム(Li)は, 双極性障害, 単極性障害, 難治性うつ等の治療薬として1949年以降国内外で広く使用されている非常に有用な薬剤である. しかしながら, その一方, 血中有効濃度域と中毒域の境界が互いに近接しているため, Li中毒症状がしばしばみられ慎重投与が求められる. Li中毒症状としては, 小脳症状が最も顕著に認められるが, それ以外にも痙攣, 昏睡, 譫妄, Parkinson病様症状(仮面様顔貌, 筋固縮, 無動, 安静時振戦, 小刻み歩行), 錐体外路症状(choreo-athetosis, dystonia), 錐体路徴候(深部腱反射亢進, 痙縮), 筋症状, 末梢神経neuropathy, など様々な症状が報告されている. しかしながら, 今迄に, 眼球運動に関する詳細な記述やENG記録などは殆ど見当たらず, ただ単に「眼振」の単語記述のみの報告例も多い.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.10