急性小脳失調症に末梢性顔面神経麻痺が遅発性に続発し水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価高値を示した1例

「はじめに」ウイルス感染による急性小脳炎は, 急性小脳失調症ともいわれ小児に多く認められる. 一方, 成人発症例は極めて少なく, 主に20~40歳代など若年齢層~中年層にかけて多くみられ, 比較的良好な経過を辿る場合が多い. しかしながら, 60歳以上の高年齢者では, 時に, 重篤な小脳失調症状がみられ遷延化する例もみられる. 今回, 免疫不全疾患など全く既往のない(immunocompetent)中年女性で, 急性小脳炎に続いて遅発性に一側末梢性顔面神経麻痺を併発し, 血清水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価が高値を示した1例を経験した. 通常, 急性小脳炎の場合, ほとんど単相性の経過を...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 78; no. 1; pp. 30 - 38
Main Authors: 横田, 淳一, 茂木, 怜美, 山口, 洋子
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 28-02-2019
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」ウイルス感染による急性小脳炎は, 急性小脳失調症ともいわれ小児に多く認められる. 一方, 成人発症例は極めて少なく, 主に20~40歳代など若年齢層~中年層にかけて多くみられ, 比較的良好な経過を辿る場合が多い. しかしながら, 60歳以上の高年齢者では, 時に, 重篤な小脳失調症状がみられ遷延化する例もみられる. 今回, 免疫不全疾患など全く既往のない(immunocompetent)中年女性で, 急性小脳炎に続いて遅発性に一側末梢性顔面神経麻痺を併発し, 血清水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価が高値を示した1例を経験した. 通常, 急性小脳炎の場合, ほとんど単相性の経過を辿る. 従って, 本例のように数週間後に脳神経症状が続発した例は極めて稀で, 内外文献例でも僅かに1例認めるのみである. しかも, 異常眼球運動に関して電気眼振図(ENG)を用いて検討した報告例は過去に全く認められないことから文献的考察を加え報告する.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.78.30