EVAR術後の腹部大動脈瘤破裂に対し腰動脈の止血とステントグラフトの両脚に人工血管を吻合し再建を行った一例

症例は60歳代男性.4年前腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行された.下腸間膜動脈(IMA)と腰動脈に由来したtype II endoleakが認められていたため,計4回の血管内コイル塞栓術を施行したがendoleakは残存していた.著明な多発囊胞腎,肝囊胞を合併しており開腹手術は極めて困難であったため経過観察としていたが,破裂を来たし救命目的に手術を行った.瘤を切開しendoleakの原因である腰動脈からの出血を確認した後縫合止血した.術操作中にステントグラフト右脚が抜けたため,下行大動脈に留置した血流遮断バルーンで出血をコントロールした.留置されていたステントグラフトは温存し,ステ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:日本血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 381 - 384
Main Authors: 小林, 太, 白谷, 卓, 坂口, 祐紀, 宮坂, 成人
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 19-10-2018
日本血管外科学会
Subjects:
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:症例は60歳代男性.4年前腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行された.下腸間膜動脈(IMA)と腰動脈に由来したtype II endoleakが認められていたため,計4回の血管内コイル塞栓術を施行したがendoleakは残存していた.著明な多発囊胞腎,肝囊胞を合併しており開腹手術は極めて困難であったため経過観察としていたが,破裂を来たし救命目的に手術を行った.瘤を切開しendoleakの原因である腰動脈からの出血を確認した後縫合止血した.術操作中にステントグラフト右脚が抜けたため,下行大動脈に留置した血流遮断バルーンで出血をコントロールした.留置されていたステントグラフトは温存し,ステントグラフト両脚にそれぞれ新たな人工血管を吻合することにより再建した.EVAR術後の破裂症例は時に救命が困難となるが術式を考慮し救命し得たため報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00047