腹部大動脈瘤に対するステントグラフトの最近の進歩と中・長期成績

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト手術(EVAR)は人工血管置換術(OSR)と並んで標準治療となり,急速に普及している.EVAR導入当初からすると格段に技術的進歩が見られる.EVARが不適とされるhostile neck,アクセスルート不良や破裂性においても技術的工夫によりEVARが可能になりつつある.しかし,EVARの長期成績に関しては追加治療を含めて問題点はある.本邦における長期成績は明確ではないが,欧米からの多施設ランダム化試験(RCT)では長期での追加治療回避率や瘤関連死亡はOSRに劣るという報告がされた.同RCTが旧世代の機種の使用であることや手技的な相違点もあり,必ずしも本邦のE...

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Published in:日本血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 5; pp. 405 - 411
Main Authors: 森景, 則保, 濱野, 公一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29-10-2018
日本血管外科学会
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Description
Summary:腹部大動脈瘤に対するステントグラフト手術(EVAR)は人工血管置換術(OSR)と並んで標準治療となり,急速に普及している.EVAR導入当初からすると格段に技術的進歩が見られる.EVARが不適とされるhostile neck,アクセスルート不良や破裂性においても技術的工夫によりEVARが可能になりつつある.しかし,EVARの長期成績に関しては追加治療を含めて問題点はある.本邦における長期成績は明確ではないが,欧米からの多施設ランダム化試験(RCT)では長期での追加治療回避率や瘤関連死亡はOSRに劣るという報告がされた.同RCTが旧世代の機種の使用であることや手技的な相違点もあり,必ずしも本邦のEVARに合致するとは限らないが,重要な警告と受け止めるべきである.EVARの長期成績を向上するためにはtype IIエンドリークへの対応も今後の課題である.より多くの腹部大動脈瘤患者が低侵襲治療であるEVARの恩恵を得られるためには,技術的進歩を追求することと,長期成績を担保するための取り組みの両者が必要であり,いずれも欠けてはならない.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00097