気管切開後に発症した気管腕頭動脈瘻の1救命例

気管腕頭動脈瘻は気管切開の稀ではあるが死亡率の高い合併症である.症例は76歳女性で3年前に外傷性くも膜下出血後に気管切開を施行された.療養型病院に転院となり,気管チューブの交換時に気管切開孔から大量出血を来し当院に救急搬送となった.気管チューブのカフを膨張させている間は止血が可能であったため造影CTを施行した.気管腕頭動脈瘻と診斷し緊急で腕頭動脈離断術を施行した.術後,局所での感染を併発したが開創ドレナージにて治癒した.術前後での意識レベルや神経学的所見に変化はなく救命できた.気管腕頭動脈瘻は適切な対応による一次止血と外科的治療が重要である.腕頭動脈離断術は術中での総頸動脈断端圧を測定すること...

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Published in:日本血管外科学会雑誌 Vol. 26; no. 3; pp. 179 - 183
Main Authors: 秋月, 光, 堀江, 弘夢, 石黒, 眞吾
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2017
日本血管外科学会
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Description
Summary:気管腕頭動脈瘻は気管切開の稀ではあるが死亡率の高い合併症である.症例は76歳女性で3年前に外傷性くも膜下出血後に気管切開を施行された.療養型病院に転院となり,気管チューブの交換時に気管切開孔から大量出血を来し当院に救急搬送となった.気管チューブのカフを膨張させている間は止血が可能であったため造影CTを施行した.気管腕頭動脈瘻と診斷し緊急で腕頭動脈離断術を施行した.術後,局所での感染を併発したが開創ドレナージにて治癒した.術前後での意識レベルや神経学的所見に変化はなく救命できた.気管腕頭動脈瘻は適切な対応による一次止血と外科的治療が重要である.腕頭動脈離断術は術中での総頸動脈断端圧を測定することにより脳虚血の予測が可能であり,気管腕頭動脈瘻に対する簡便で再発が少ない術式である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17-00001