3.外リンパ瘻
「I はじめに」外リンパ瘻は「内耳と中耳の間に異常交通路ができ, 外リンパが中耳腔に漏出し, 聴覚障害や平衡障害を起こす病態」と定義されるが, 最近では側頭骨骨折や上半規管裂隙症候群など内耳と脳脊髄腔間の異常交通路の存在をも含める意見もある. 外リンパ瘻自体は特別珍しい疾患ではなく, 内耳奇形, 特にMondini奇形での外リンパの漏出と繰り返す髄膜炎やアブミ骨手術直後や術後数年以内におこる前庭窓からの外リンパ瘻は良く知られていた. 更に1968年にはFee1)は頭部外傷症例で鼓室開放術を行い前庭窓に破綻が起こっていた症例を報告し, 外傷でも外リンパ瘻が起こりうることが分かった. 実際に外リン...
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Published in: | Equilibrium Research Vol. 72; no. 4; pp. 222 - 226 |
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Main Author: | |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2013
日本めまい平衡医学会 |
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Summary: | 「I はじめに」外リンパ瘻は「内耳と中耳の間に異常交通路ができ, 外リンパが中耳腔に漏出し, 聴覚障害や平衡障害を起こす病態」と定義されるが, 最近では側頭骨骨折や上半規管裂隙症候群など内耳と脳脊髄腔間の異常交通路の存在をも含める意見もある. 外リンパ瘻自体は特別珍しい疾患ではなく, 内耳奇形, 特にMondini奇形での外リンパの漏出と繰り返す髄膜炎やアブミ骨手術直後や術後数年以内におこる前庭窓からの外リンパ瘻は良く知られていた. 更に1968年にはFee1)は頭部外傷症例で鼓室開放術を行い前庭窓に破綻が起こっていた症例を報告し, 外傷でも外リンパ瘻が起こりうることが分かった. 実際に外リンパ瘻症例報告を検討すると, 頭部外傷の既往が最も多いことが分かる. この外傷には交通事故, 直達外傷のほかにも転倒や打撲などの軽微なものまで報告されている. 外リンパ瘻が注目を浴びてきたのは1970年代に原因不明の特発性外リンパ瘻が急性感音難聴の原因の一つと考えられてからである. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.72.222 |