静脈鬱血による延髄髄内出血を来した頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻の1例

頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(craniocervical junction dural arteriovenous fistula: CCJ dAVF)は従来,くも膜下出血発症を特徴とするとされてきたが,近年,脳幹・脊髄の鬱血病変による発症も報告されている.今回,鬱血を伴う延髄髄内出血を来した症例を経験したので報告する.症例は71歳男性,数年来の腰椎椎間板ヘルニアで経過観察中に右拇趾背屈障害が出現した.頸椎MRIで延髄病変を認め,当科に紹介された.頭部CTで延髄左背側に出血を認め,MRI(T2 拡散強調画像)で延髄全体の高信号と左背側の出血が確認され,延髄周囲にflow voidと柵状に造影さ...

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Published in:脳卒中 Vol. 44; no. 2; pp. 186 - 191
Main Authors: 十川, 和樹, 佐藤, 浩一, 高麗, 雅章, 花岡, 真実, 山口, 真司, 手島, 奈津美, 仁木, 均, 松崎, 和仁
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
日本脳卒中学会
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Description
Summary:頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(craniocervical junction dural arteriovenous fistula: CCJ dAVF)は従来,くも膜下出血発症を特徴とするとされてきたが,近年,脳幹・脊髄の鬱血病変による発症も報告されている.今回,鬱血を伴う延髄髄内出血を来した症例を経験したので報告する.症例は71歳男性,数年来の腰椎椎間板ヘルニアで経過観察中に右拇趾背屈障害が出現した.頸椎MRIで延髄病変を認め,当科に紹介された.頭部CTで延髄左背側に出血を認め,MRI(T2 拡散強調画像)で延髄全体の高信号と左背側の出血が確認され,延髄周囲にflow voidと柵状に造影される構造物を認めた.脳血管撮影でCCJ dAVFと診断した.外科的流出静脈遮断を施行し,動静脈シャントは消失した.術後,症状は改善した.延髄出血で発症したCCJ dAVFを,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10951