小児両側同時人工内耳例の術後2年間の聴性行動と言語発達

要旨: 本邦における小児両側人工内耳の症例数は増加傾向にある。両側の人工内耳手術は, 初回側手術 (1st CI) と反対側手術 (2nd CI) の間隔をあけて行う逐次手術と, 両側を一回の手術で行う同時手術に分けられる。当科では, 2015年7月より小児の両側同時人工内耳手術を開始し, 年々症例数が増加している。今回我々は, 両側同時人工内耳手術の効果を明らかにするため, 当科で両側同時人工内耳植込み術を行った同時 CI 例13名と 1st CI と 2nd CI の手術間隔が1年以上の逐次 CI 例13名の術後2年間の LittlEARS® 聴覚活用質問紙 (LEAQ) と新版 K 式発...

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Published in:AUDIOLOGY JAPAN Vol. 64; no. 6; pp. 538 - 544
Main Authors: 山崎, 朋子, 諸頭, 三郎, 玉谷, 輪子, 藤井, 直子, 山崎, 博司, 藤原, 敬三, 内藤, 泰
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本聴覚医学会 28-12-2021
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: 本邦における小児両側人工内耳の症例数は増加傾向にある。両側の人工内耳手術は, 初回側手術 (1st CI) と反対側手術 (2nd CI) の間隔をあけて行う逐次手術と, 両側を一回の手術で行う同時手術に分けられる。当科では, 2015年7月より小児の両側同時人工内耳手術を開始し, 年々症例数が増加している。今回我々は, 両側同時人工内耳手術の効果を明らかにするため, 当科で両側同時人工内耳植込み術を行った同時 CI 例13名と 1st CI と 2nd CI の手術間隔が1年以上の逐次 CI 例13名の術後2年間の LittlEARS® 聴覚活用質問紙 (LEAQ) と新版 K 式発達検査の結果を比較した。LEAQ の得点は, 術後3カ月から15カ月まで同時 CI 群が逐次CI 群よりも有意に高い値を示し, 同時 CI 群が逐次 CI 群より聴性行動の発達が早いことが明らかになった。新版 K 式発達検査の言語・社会領域の発達指数 (DQ) は, 術後1年では同時 CI 群が逐次 CI 群より良好な結果を示したが, 術後2年で両群間の有意差は消失した。しかし, 認知・適応領域の DQ と言語・社会領域の DQの差は, 術後1年と2年のいずれも同時 CI 群が逐次 CI 群より有意に小さい値を示し, 術後少なくとも2年間は同時 CI 群が逐次 CI 群より認知面の発達に見合った言語発達に近づくことが示唆された。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.64.538