パークベンチ体位での開頭手術後に顎下腺腫脹と舌腫脹をきたした症例

パークベンチ体位での右側頭葉腫瘍摘出術術後に,左顎下腺と舌の腫脹をきたしたまれな症例を経験した.症例は23歳女性で,手術終了後に全身麻酔からの覚醒が十分であるのを確認し抜管した.術後5時間から左頚部腫脹が出現し,術後13時間には左顎下腺と舌の腫脹による気道閉塞をきたし気管切開を施行した.頚部屈曲や気管チューブ留置により顎下腺管や動静脈が圧迫されることで顎下腺や周囲組織が腫脹し,これにより舌静脈の還流が障害され舌が腫脹したと考えられた.術後合併症として顎下腺や舌の腫脹が起こりうるため,頚部腫脹の徴候を十分に観察し気道狭窄が進行する前に気管挿管を行うべきである....

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Published in:日本臨床麻酔学会誌 Vol. 42; no. 5; pp. 451 - 456
Main Authors: 隈元, 泰輔, 田島, 功一朗, 津山, 奏子, 松原, 史子, 生田, 義浩, 山本, 達郎
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本臨床麻酔学会 15-09-2022
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Description
Summary:パークベンチ体位での右側頭葉腫瘍摘出術術後に,左顎下腺と舌の腫脹をきたしたまれな症例を経験した.症例は23歳女性で,手術終了後に全身麻酔からの覚醒が十分であるのを確認し抜管した.術後5時間から左頚部腫脹が出現し,術後13時間には左顎下腺と舌の腫脹による気道閉塞をきたし気管切開を施行した.頚部屈曲や気管チューブ留置により顎下腺管や動静脈が圧迫されることで顎下腺や周囲組織が腫脹し,これにより舌静脈の還流が障害され舌が腫脹したと考えられた.術後合併症として顎下腺や舌の腫脹が起こりうるため,頚部腫脹の徴候を十分に観察し気道狭窄が進行する前に気管挿管を行うべきである.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.42.451