神経耳科学的見地から長期間経過観察した Fabry 病の一例

「はじめに」Fabry病は, αガラクトシダーゼ欠損により, 血管の内皮細胞や平滑筋細胞をはじめ全身の細胞のライソゾームにスフィンゴ糖脂質が蓄積することが主病態である国の指定難病の1つである. X連鎖劣性遺伝形式で発症し, 脂質の蓄積による血管障害を主体とした多彩な臨床症状を示すが, 耳鼻咽喉科領域では難聴, めまい, ふらつき等が多く見られる. 今回, 当科で約10年弱の定期的な聴力検査, さらには神経耳科学的検査を含めて経過観察を施行した一例を経験したので, 文献的考察をまじえて報告する. 「症例」初診時年齢43歳, 男性 主訴:難聴 初診までの経過:小児期より難聴はあったが, 30歳を過...

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Published in:Equilibrium Research Vol. 80; no. 4; pp. 277 - 284
Main Authors: 吉田, 友英, 山本, 昌彦, 鈴木, 光也
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 31-08-2021
日本めまい平衡医学会
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Summary:「はじめに」Fabry病は, αガラクトシダーゼ欠損により, 血管の内皮細胞や平滑筋細胞をはじめ全身の細胞のライソゾームにスフィンゴ糖脂質が蓄積することが主病態である国の指定難病の1つである. X連鎖劣性遺伝形式で発症し, 脂質の蓄積による血管障害を主体とした多彩な臨床症状を示すが, 耳鼻咽喉科領域では難聴, めまい, ふらつき等が多く見られる. 今回, 当科で約10年弱の定期的な聴力検査, さらには神経耳科学的検査を含めて経過観察を施行した一例を経験したので, 文献的考察をまじえて報告する. 「症例」初診時年齢43歳, 男性 主訴:難聴 初診までの経過:小児期より難聴はあったが, 30歳を過ぎてから両側難聴が進行してきた. 2000年頃よりさらに徐々に両耳の聞こえ(右>左)が悪化してきた. 自分で集音器を購入して使用していたが, 左耳装用でないと効果がないと感じていた. 2005年, 会社の検診で聴力検査を施行し, 両耳難聴を指摘された.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.80.277