人為的高体温のイヌ皮膚, 筋の血流量および代謝に及ぼす影響
人為的高体温時 (38℃~43℃) の皮膚および筋の血流量と酸素需給の変化を, 雑種成犬18頭の後肢を用いて検討した.高体温時には心拍出量増加と体血管抵抗減少がみられたが, 筋, 真皮の血流量は有意の変化はなく, 皮下組織の血流量増加も有意ではなかった.大腿動静脈の酸素含量較差は体温上昇とともに有意に増加したが, 乳酸濃度較差は増加しなかった.血漿中のcAMP濃度は体温上昇とともに有意に増加したが, cGMP濃度は増加しなかった.高体温時により動脈血中の遊離アミノ酸は有意に増加したが, 大腿動静脈間で濃度を比較すると動脈のほうが高値を示した. これらの結果から, 麻酔下の人為的高体温時には,...
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Published in: | 日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 12; no. 4; pp. 361 - 370 |
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Main Author: | |
Format: | Journal Article |
Language: | English |
Published: |
日本ハイパーサーミア学会
1996
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Summary: | 人為的高体温時 (38℃~43℃) の皮膚および筋の血流量と酸素需給の変化を, 雑種成犬18頭の後肢を用いて検討した.高体温時には心拍出量増加と体血管抵抗減少がみられたが, 筋, 真皮の血流量は有意の変化はなく, 皮下組織の血流量増加も有意ではなかった.大腿動静脈の酸素含量較差は体温上昇とともに有意に増加したが, 乳酸濃度較差は増加しなかった.血漿中のcAMP濃度は体温上昇とともに有意に増加したが, cGMP濃度は増加しなかった.高体温時により動脈血中の遊離アミノ酸は有意に増加したが, 大腿動静脈間で濃度を比較すると動脈のほうが高値を示した. これらの結果から, 麻酔下の人為的高体温時には, 筋の血流量は増加しないが, 酸素供給は筋の代謝を正常に維持するのに十分であり, 骨格筋の分離も亢進しないことが示された.また, 高体温時の高心拍出量状態は, 加温により引き起こされたcAMP増加と関係がある可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0911-2529 1881-9516 |
DOI: | 10.3191/thermalmedicine.12.361 |