6059-Sに関する基礎的・臨床的研究

塩野義製薬研究所で開発された6059-S1・2, は化学構造上, 従来のセファロスポリン剤の骨格の硫黄原子が酸素原子に置換され, 7位の側鎖にメトオキシ基を有してセファマイシン様構造をも合わせ持つ点で特異な抗生物質である。本剤は化学構造上の特異性よりOxacephe飢と呼称され, β-lactamaseに抵抗性で.特にグラム陰性菌に対して強い抗菌力を持つといわれる。 われわれの検討成績ではグラム陽性球菌に対する抗菌力はCEZ, CMD, CTM, CMZよりかなり劣る結果であったが, グラム陰性菌に対しては対照薬剤より極めて優れていた。 ヒトに本剤29を点滴静注した場合の最高血中濃度は, 点滴...

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Published in:CHEMOTHERAPY Vol. 28; no. Supplement7; pp. 552 - 568
Main Author: 中富, 昌夫他
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1980
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Description
Summary:塩野義製薬研究所で開発された6059-S1・2, は化学構造上, 従来のセファロスポリン剤の骨格の硫黄原子が酸素原子に置換され, 7位の側鎖にメトオキシ基を有してセファマイシン様構造をも合わせ持つ点で特異な抗生物質である。本剤は化学構造上の特異性よりOxacephe飢と呼称され, β-lactamaseに抵抗性で.特にグラム陰性菌に対して強い抗菌力を持つといわれる。 われわれの検討成績ではグラム陽性球菌に対する抗菌力はCEZ, CMD, CTM, CMZよりかなり劣る結果であったが, グラム陰性菌に対しては対照薬剤より極めて優れていた。 ヒトに本剤29を点滴静注した場合の最高血中濃度は, 点滴終了時240μg/ml (1時間点滴) および118μg/ml (2時間点滴) で, 6時間後にもかなりの濃度が測定された。 慢性気管支炎における本剤の最高喀痰内移行濃度は, 29点滴の場合, 血痰内3.13μg/ml, 膿性痰内0.40~0.78μg/mlであった。 呼吸器感染症17例, 尿路感染症2例および胆のう炎1例に本剤を点滴静注した場合の臨床効果は, 著効5例, 有効10例, やや有効1例, 無効2例および判定不能2例で, 有効率は83.3%であった。細菌学的にはH.influenzae, K.aerogenes, S.peumonaeなどは全株除菌され, その際の有効率は90.0%であった。 副作用としては, 好酸球増多1名とBUN上昇1名の計2名があったが, 後者は基礎疾患に起因するものと考えられた。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.28.Supplement7_552