血清ムコ蛋白の産生起源とくに悪性腫瘍の際増量するムコ蛋白について
癌および悪性腫瘍の際血清ムコ蛋白が著明に増量するが, これと生理的に存在するムコ蛋白との異同について研究している。 生理的に存在するムコ蛋白は, 実験的並びに臨床的に肝機能障害時に低下し, また肝前および肝後血清の比較から肝内産生が結論された。また網内系機能低下時血中に遊離し, 亢進時には捕捉されるかの如く血中減少が起り, その動的平衡は網内系機能と密接に関係する。 悪性腫瘍の際増量するムコ蛋白は, 臨床的にも肝外産生を推論せしめるが, 腫瘍の輸出入血液のムコ蛋白比較実験から, 腫瘍内産生ムコ蛋白の存在が確認された。一方悪性腫瘍の際増量するムコ蛋白の一部には, 生体反応 (防禦反応) 的な意義...
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Published in: | 癌 Vol. 48; no. 3; pp. 305 - 314 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本癌学会
1957
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Summary: | 癌および悪性腫瘍の際血清ムコ蛋白が著明に増量するが, これと生理的に存在するムコ蛋白との異同について研究している。 生理的に存在するムコ蛋白は, 実験的並びに臨床的に肝機能障害時に低下し, また肝前および肝後血清の比較から肝内産生が結論された。また網内系機能低下時血中に遊離し, 亢進時には捕捉されるかの如く血中減少が起り, その動的平衡は網内系機能と密接に関係する。 悪性腫瘍の際増量するムコ蛋白は, 臨床的にも肝外産生を推論せしめるが, 腫瘍の輸出入血液のムコ蛋白比較実験から, 腫瘍内産生ムコ蛋白の存在が確認された。一方悪性腫瘍の際増量するムコ蛋白の一部には, 生体反応 (防禦反応) 的な意義の下に恐らくは肝で産生されるものの存在も推論され, われわれは腫瘍内産生ムコ蛋白を特異的MP, 反応性増量ムコ蛋白を非特異的MPと名付けた。悪性腫瘍 (癌) 患者血清並びに尿から単離したムコ蛋白は非癌および正常のそれに比し著明にカタラーゼ抑制作用を現わすことから, 腫瘍的産生ムコ蛋白は悪液質毒 (癌腫毒) の担体としての意義を有するのではないかと考えている。さらに生理的ムコ蛋白と異なり, 網内系により代謝され難い事実が推論された。 |
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ISSN: | 0016-450X |
DOI: | 10.20772/cancersci1907.48.3_305 |