外科領域におけるT-1982の臨床使用成績

新しいCephamycin系抗生物質T-1982の体液内濃度を測定するとともに, 外科領域の感染症26例に本剤を使用し以下の結果をえた。 6例の総胆管結石症術後患者に本剤0.5gあるいは1.0gをoneshot静注し, 血清中濃度ならびに胆汁中濃度を測定した。0.5g投与2例の血清中濃度は30分後に32~48μg/ml, 胆汁中濃度は1例で2時間後に147.5μg/mlがえられた。1.09投与4例の血清中濃度は30分後に68~100μg/mlを示した。胆汁中濃度は1例で1時間後に1, 190μg/ml, 他の1例で2時間後に250μg/mlのピーク値を示した。また, 胆汁中回収率は0.2~3....

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Published in:CHEMOTHERAPY Vol. 30; no. Supplement3; pp. 694 - 704
Main Authors: 藤本, 幹夫, 上田, 隆美, 酒井, 克治, 澤田, 晃, 土居, 進, 佐々木, 武也, 前田, 貞邦, 松本, 敬之助, 政田, 明徳, 森本, 譲, 川島, 正好
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1982
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Description
Summary:新しいCephamycin系抗生物質T-1982の体液内濃度を測定するとともに, 外科領域の感染症26例に本剤を使用し以下の結果をえた。 6例の総胆管結石症術後患者に本剤0.5gあるいは1.0gをoneshot静注し, 血清中濃度ならびに胆汁中濃度を測定した。0.5g投与2例の血清中濃度は30分後に32~48μg/ml, 胆汁中濃度は1例で2時間後に147.5μg/mlがえられた。1.09投与4例の血清中濃度は30分後に68~100μg/mlを示した。胆汁中濃度は1例で1時間後に1, 190μg/ml, 他の1例で2時間後に250μg/mlのピーク値を示した。また, 胆汁中回収率は0.2~3.1%と症例によって差がみられた。 外科領域の感染症26例に本剤を使用した。その結果, 腹膜炎や腹腔内膿瘍など腹腔内感染症13例中著効5例, 有効8例で有効率100%, 胆道感染症7例中著効3, 有効3, 無効1 (有効率857%), 術創感染3例中著効1, 有効1, やや有効1, 膿胸1例は有効, 肛囲膿瘍1例は著効, 蜂巣炎1例は無効であり, 全体として有効率は88.5%であった。 副作用として発疹が1例にみられた。また肝機能障害 (GOT, GPT, A1-P値の上昇) が2例にみられたが, 本剤との関係は不明であった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.30.Supplement3_694