外科領域におけるAT-2266の臨床使用成績

新しいPyridonecarboxylic acid誘導体の合成抗菌剤AT-2266の体液内濃度を測定するとともに, これを外科領域の感染症に試用したので, その成績を報告する。 胆汁の採取が可能であった患者6例に本剤200mgを経口投与し, 投与後の胆汁中濃度ならびに血清中濃度を測定した。6例中4例の胆汁中濃度は投与後2~4時間後に3.31~7.10μg/mlのピーク値を示したのち, 漸次減少し, 5~6時間後でも1.35~4.88μg/mlの濃度が証明された。これらの濃度値は同時に測定された血清中濃度値のほぼ3倍に相当していた。また, 他の2例の胆汁中濃度は投与後1~3時間目から測定可能と...

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Published in:CHEMOTHERAPY Vol. 32; no. Supplement3; pp. 973 - 984
Main Authors: 酒井, 克治, 藤本, 幹夫, 上田, 隆美, 佐々木, 武也, 土居, 進, 光吉, 聖, 松本, 敬之助, 政田, 明徳, 森本, 譲, 川島, 正好
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1984
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Description
Summary:新しいPyridonecarboxylic acid誘導体の合成抗菌剤AT-2266の体液内濃度を測定するとともに, これを外科領域の感染症に試用したので, その成績を報告する。 胆汁の採取が可能であった患者6例に本剤200mgを経口投与し, 投与後の胆汁中濃度ならびに血清中濃度を測定した。6例中4例の胆汁中濃度は投与後2~4時間後に3.31~7.10μg/mlのピーク値を示したのち, 漸次減少し, 5~6時間後でも1.35~4.88μg/mlの濃度が証明された。これらの濃度値は同時に測定された血清中濃度値のほぼ3倍に相当していた。また, 他の2例の胆汁中濃度は投与後1~3時間目から測定可能となり, その後時間を経るにしたがって, しだいに上昇し, 5~6時間目で2例とも7.57μg/mlの高い値を示した。血清中濃度は6例中3例において測定されたが, 2例では1~2時間後に1.32および2.26μg/mlのピーク値に達し, 4時間後で0.939および1.17μg/mlとなった。他の1例では1および2時間目に各々0.12μg/mlの濃度が検出されたのち, 6時間後の測定では0.99μg/mlの値を示した。 本剤を外科領域の皮膚・軟部組織感染症56例および胆道感染症3例に試用した。その結果, 各種膿瘍12例中著効4例, 有効5例, 創感染10例中著効3例, 有効4例, 蜂巣炎8例中著効1例, 有効6例, 胆道感染3例中著効1例, 有効1例, そして, 感染粉瘤8例, 節・よう7例, 節疸5例, 乳腺炎・乳輪炎5例, リンパ節炎1例はいずれも著効または有効であった。したがって, 全症例59例中著効17例, 有効34例, やや有効6例, 無効2例となり, その有効率は86.4%であった。 59例中細菌学的効果が検討された46例の除菌率は86.0%となった。 全症例とも本剤による副作用はなく, 本剤投与前後に臨床検査が実施された16例においても, 異常を示したものはなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.32.Supplement3_973