Temporal arteritisの1例

定型的temporal arteritisの症例を経験し,ステロイド治療前後2回にわたり側頭動脈より生検を施行したので報告する. 1)症例は67才,男. 10年来の肩こりをみとめている.入院約1ヵ月前より頭痛が出現し,視力低下,体重減少を伴つた.側頭動脈は硬く怒張し,拍動は触れなかつた.第1回の右浅側頭動脈の生検では巨細胞を伴う肉芽腫性動脈炎を証明した.ステロイド薬1ヵ月投与後,臨床症状が改善し,側頭動脈の局所所見が全く正常化した時点で左浅側頭動脈より第2回生検を行なつた.その結果,高度の内膜肥厚,中外膜の線維化と新生血管の介在に加え,軽度の小円形細胞浸潤が残つており,ステロイド薬により臨床症...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 328 - 333
Main Authors: 山本, 誠, 遠山, 龍彦, 三林, 裕, 脇本, 賢次, 黒田, 満彦, 竹田, 亮祐, 北川, 正信
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 1975
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Description
Summary:定型的temporal arteritisの症例を経験し,ステロイド治療前後2回にわたり側頭動脈より生検を施行したので報告する. 1)症例は67才,男. 10年来の肩こりをみとめている.入院約1ヵ月前より頭痛が出現し,視力低下,体重減少を伴つた.側頭動脈は硬く怒張し,拍動は触れなかつた.第1回の右浅側頭動脈の生検では巨細胞を伴う肉芽腫性動脈炎を証明した.ステロイド薬1ヵ月投与後,臨床症状が改善し,側頭動脈の局所所見が全く正常化した時点で左浅側頭動脈より第2回生検を行なつた.その結果,高度の内膜肥厚,中外膜の線維化と新生血管の介在に加え,軽度の小円形細胞浸潤が残つており,ステロイド薬により臨床症状が改善しても組織像の反応は迅速でないと考えられた. 2)頭痛の激しい時期に視力低下をみとめたが,眼底はScheie H1S1-2と著変がなかつた. 3) polymyalgia rheumaticaかどうかは不明だが, 10年来の肩こりは下熱鎮痛剤に無反応でステロイド薬が著効を示し,頭痛と随伴して症状が出現するなどtemporal arteritisとの関連を強く示唆していた. 4)大動脈造影では大動脈弓およびその主幹動脈に著変はみとめず,腎生検像でも細小血管に異常はみとめられなかつた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.64.328