大動脈炎症候群における肺血流スキャン・呼吸機能検査およびツベルクリン反応にかんする検討

病歴,理学的所見および大動脈撮影をふくむ諸検査により大動脈炎症候群と診断を確定し得た42例を対象とし, 131I-MAAによる肺血流スキャン(42例),一般呼吸機能検査(14例),およびツベルクリン試験(20例)を行ない,その結果を検討した.結核症の既往がなく,胸部X線に結核性と思われる異常陰影を認めなかつた症例は42例中22例あり,肺血流スキャンではその68%に局所的血流低下,欠損像を認めた.したがつて本症における肺動脈病変の合併頻度は約70%と推定された.血流欠損部位に一致する肺野のX線透過性が異常に亢進していた症例は少なかつたが,その理由は同肺野への血流が気管支動脈を介し,代償性に増加し...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 65; no. 1; pp. 52 - 58
Main Authors: 毛利, 昌史, 森成, 元, 武田, 忠直, 村尾, 覚
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 01-01-1976
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Description
Summary:病歴,理学的所見および大動脈撮影をふくむ諸検査により大動脈炎症候群と診断を確定し得た42例を対象とし, 131I-MAAによる肺血流スキャン(42例),一般呼吸機能検査(14例),およびツベルクリン試験(20例)を行ない,その結果を検討した.結核症の既往がなく,胸部X線に結核性と思われる異常陰影を認めなかつた症例は42例中22例あり,肺血流スキャンではその68%に局所的血流低下,欠損像を認めた.したがつて本症における肺動脈病変の合併頻度は約70%と推定された.血流欠損部位に一致する肺野のX線透過性が異常に亢進していた症例は少なかつたが,その理由は同肺野への血流が気管支動脈を介し,代償性に増加しているためと考えられた.呼吸機能検査は正常範囲内の症例が多かつたが,本症では肺動脈病変がきわめて高度か,肺結核症や心肥大などの合併がない限り,呼吸機能の低下は通常ともなわないと考えられる.ツ反は20例中15例(75%)が陽性であつたが,陰性もしくは疑陽性の5例中2例でステロイドの局注もしくは全身投与によるツ反の促進現象を認め,うち1例ではKveim試験も陽性であつた.また,陰性例中には発症後間もない活動期の症例が多かつた.このような知見は本症とサルコイドーシスとの関連性を示唆するものとして興味深い.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.65.52