静脈学国際指標の日本語翻訳事業3—Villaltaスケール日本語版 血栓後症候群(post-thrombotic syndrome; PTS)の他指標との比較も含めて

血栓後症候群(post-thrombotic syndrome; PTS)は深部静脈血栓症後に発症する重要な慢性期合併症である.これまで幾つかのPTSの診断,重症度分類スケールが報告され,それらの信頼度は評価されてきている.これらの中で,現在最も広く受け入れられておりゴールドスタンダードに近いものとされているのがVillaltaスケールである.Ginsbergスコアなどと比較し,Villaltaスケールはその簡便性,他の評価スケールとの高い相関,高い評価者間信頼度により,すでに多くの臨床試験および長期コホート研究等で用いられている.しかしながらPTSは,血行動態が複雑で,臨床症状の程度が個々で...

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Published in:静脈学 Vol. 32; no. 1; pp. 87 - 94
Main Authors: 星野, 祐二, 渡部, 芳子, 赤木, 大輔, 孟, 真, 今井, 崇裕, 福田, 和歌子, 細井, 温, 小川, 智弘, 八巻, 隆
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本静脈学会 30-06-2021
Subjects:
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Description
Summary:血栓後症候群(post-thrombotic syndrome; PTS)は深部静脈血栓症後に発症する重要な慢性期合併症である.これまで幾つかのPTSの診断,重症度分類スケールが報告され,それらの信頼度は評価されてきている.これらの中で,現在最も広く受け入れられておりゴールドスタンダードに近いものとされているのがVillaltaスケールである.Ginsbergスコアなどと比較し,Villaltaスケールはその簡便性,他の評価スケールとの高い相関,高い評価者間信頼度により,すでに多くの臨床試験および長期コホート研究等で用いられている.しかしながらPTSは,血行動態が複雑で,臨床症状の程度が個々で大きく異なるため,明確な基準を決定しにくい病態である.Villaltaスケール単独でPTSを評価するには限界があるという意見もある.日本静脈学会国際委員会ではVillaltaスケールの日本語訳を作成し,PTS評価の実際を報告する.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.21-3